この記事は、マネーフォワード クラウド会社設立を使い、自分で会社設立の手続きを進める中で資本金額をいくらにすればよいのか判断がつかず手が止まってしまった人に向けて書いています。資本金には下限がありませんが、この額の決め方は運転資金や信用面だけでなく、免税の判定や税額の計算にも直結します。会社設立の書類づくりはマネーフォワードでかなりの部分を任せられます。ただし資本金額の設定は、税務上の影響まで踏まえて利用者自身が判断しなければならない数少ない項目のひとつです。国税庁・法務局・日本公証人連合会などの一次情報を確認しながら、判断材料をひとつずつ整理します。
株式会社の資本金に、法律上の最低額は無い
マネーフォワード クラウド会社設立を使って会社設立を自分で進めようとするとき、最初につまずきやすいのが資本金額です。平成18年(2006年)5月1日に施行された会社法により、旧商法にあった最低資本金制度(株式会社1,000万円・有限会社300万円)は廃止されました。現行の会社法には、この額の下限を定める規定がありません(会社法第445条は算定方法を定める条文で、下限そのものは規定していません)。
制度上は1円からでも会社設立は可能です。ただし実務上は、設立直後に要る運転資金や、登記事項として公開される点、許認可が必要な業種であれば個別の要件を踏まえて決めるのが一般的です(中小企業基盤整備機構「J-Net21」、2026年8月21日確認)。数字だけを見て「1円でよい」と決めてしまうと、あとの工程で資金繰りに困ることがあります。
いくらにするかは、発起人が最初に固めておくべき数字です。事業の見通しを踏まえて、自分で数字を決めます。次はマネーフォワードのどの画面でこの数字を入力するのかを見ていきます。
なお、定款の絶対的記載事項は「出資される財産の価額又はその最低額」であり、資本金額そのものを定款に書く義務があるわけではありません。会社設立の実務では、この価額欄と資本金額を一致させて記載するのが一般的です。

マネーフォワードで入力する資本金額
マネーフォワード クラウド会社設立では、「会社情報入力」という画面で、会社名・本店所在地・代表者・事業目的とあわせて金額を入力します(株式会社マネーフォワード公式ヘルプ、2026年8月21日確認)。ここで入力した数字は、定款や登記申請書一式のひな形に自動で反映され、会社設立の書類づくりが一気に進みます。
マネーフォワードは入力欄を用意していますが、いくらにすべきかは判断してくれません。運転資金の見通しや税務上の影響を踏まえて決める作業は、利用者側の仕事として残ります。前もって数字を固めておけば、その後の手続き全体がスムーズに進みます。
この数字は登記されると外部に公開される情報になるため、あとから増やす・減らすには、変更のための登記手続きが別途要ります。最初の入力は、事実上、しばらく固定される前提で考えます。以下では、この数字を決める材料を順番に見ていきます。
入力の前提として、この金額の払い込みは発起人名義の個人口座に振り込む形で行います。設立前の会社にはまだ口座が無いため、この払込みを証明する通帳のコピーなどが、登記申請時に添付する出資金の払込みを証する書面になります。この書面の準備は、会社設立の手続きを自分の手で用意する場合、入力作業とあわせて必要です。

資本金を決める判断材料|運転資金の見通し
最初の判断材料は、設立直後に必要な運転資金です。家賃・仕入れ・人件費・広告費など、売上が安定するまでの当面の支払いに耐えられるだけの金額を用意しておく、という考え方が実務上一般的です。中小企業基盤整備機構「J-Net21」で2026年8月21日に確認しました。毎月の固定費が30万円かかる事業なら、半年分として180万円前後をあてる、という計算の仕方もあります。
自分で会社設立を進める場合、この元手は法人名義の口座に払い込まれたあと、そのまま事業のために使えます。個人の生活費と切り分けて、法人口座から支払う費目を書き出しておくと、見積もりの精度が上がります。
過小に見積もると、設立から数か月で資金繰りに詰まる可能性があります。逆に必要以上に積み増す義務はなく、次に扱う信用面とのバランスで、事業計画に合った水準を選びます。
見積もりの際は、家賃・仕入れ・人件費・広告費を月ごとに書き出し、資金繰りが厳しくなる月が無いかを確認する、という進め方が実務的です。この表を会社設立の直前に作っておくと、資本金額の妥当性を数字で確認できます。
店舗を借りて営業する飲食業は、保証金や内装費がかさむため運転資金を厚めに見ておく必要がありますが、自宅で完結するIT系の受託業務であれば、必要な額は小さくなる傾向があります。

資本金額と対外的な信用力の関係
資本金額は、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)に記載され、誰でも法務局で取得して確認できる情報です。取引先や金融機関は、実績のない新設会社を見るときの材料のひとつとして、この数字を見ることがあります(中小企業基盤整備機構「J-Net21」、2026年8月21日確認)。
1円や数万円といった小さな金額でも会社設立はできますが、対外的な信用力という観点では不利に働く場面があります。融資審査や大口の取引を始める場面で、この金額を尋ねられることも珍しくありません。同じ事業内容でも、300万円と3万円とでは相手に与える印象が変わります。新規の契約前に登記情報を確認する慣行を持つ業界では、この差がより意識されやすくなります。
大きくすればするほど有利になるとは限りません。次に扱うとおり税務上の扱いにも影響するため、信用面だけを基準に決めるのは避けたほうがよい場面があります。マネーフォワードで自分で会社設立を進める人ほど、両方の視点を早い段階で比べておく価値があります。
資本金と混同しやすいのが、金融機関からの借入金です。借入金は返済義務のある負債であり、資本金のように登記事項として公開されるものではありません。信用面を補うために借入を組み合わせる会社もありますが、これは資本金額そのものを増やす話とは別の資金調達の手段です。

資本金の水準と、消費税免税が続く条件
国税庁の定めでは、基準期間がない事業年度の開始日における資本金の額が1,000万円に満たない場合、その法人は「消費税の新設法人」に該当せず、原則として設立当初の課税期間は免税事業者になれます(国税庁、2026年8月21日確認)。500万円で設立すればこの扱いの対象、1,200万円で設立すれば対象外という違いです。
ここで大事なのは、これが無条件の2年間免除ではないという点です。条件により、あとで説明する特定期間の基準を超えると、設立2期目の途中から納税の義務を負う側に切り替わることがあります。またインボイス発行事業者として登録すれば、金額にかかわらずその時点から申告・納付の立場になります。
会社設立を自分で計画する際、999万円台に抑えれば免税を確保できる、という単純な話ではありません。次のセクションで、この基準をもう少し具体的に確認します。
この判定に迷う場合は、税務署の窓口や国税庁のタックスアンサーで個別に確認できます。この相談窓口は、自分の判断だけで手続きを進める人でも無料で利用できます。


特定期間という半年間だけの例外基準
資本金額がこの水準を下回る新設法人であっても、特定期間(原則、設立第1期の開始日以後6か月間)中の課税売上高が1,000万円を超えた場合、または同じ半年間に支払った給与等の合計もこの金額を上回った場合は、いずれか一方の基準で判定され、その先の課税期間(多くの場合は設立第2期)から納税義務のある側になります(国税庁、2026年8月21日確認)。
売上と給与のどちらか片方だけでも基準を満たせば対象になるため、開業直後に急成長した会社ほどこの例外に当てはまりやすくなります。早い時期から人を雇い、半年間の人件費が膨らんだ会社も同じ扱いを受けます。国外事業者については、令和6年10月1日以後に開始する期間から、給与を基準にした判定が使えなくなりました。
設定額だけでなく、最初の半年の売上と人件費の見込みも、免税でいられる長さを左右します。
会社設立の直後から、この半年間の数字を帳簿に記録しておくと、あとで見返しやすくなります。

インボイスに登録すると、金額の大小に関わらず納税者になる
適格請求書発行事業者の登録を受けられるのは、条件により、消費税を納める側に限られます(消費税法57条の2)。1,000万円に満たない額で免税のままでいられる会社でも、インボイスに登録すれば、その時点から申告・納付の義務を負う立場になります。
登録の効力を設立日までさかのぼらせる特例もありますが、期限や届出の要否など、確認すべき条件が別途あります。この登録判断は資本金額の設定とは別に、取引先が仕入税額控除を必要とする相手かどうかで決めることになり、切り離して考える事項です。
免税の余地を残す狙いで額を抑えても、登録を選べば、その余地を自分で手放すことになります。免税でいる期間の使い方は、この金額をどう決めるかとあわせて、事前に方針を持っておくとよい項目です。マネーフォワードの入力画面は、この判断までは代わってくれません。
マネーフォワード クラウド会社設立の「設立後の手続き」画面は、法人設立届出書などのひな形は自動で作成しますが、インボイスの登録申請書はこの画面にも含まれていません。会社設立を自分で終えたあとも、この手続きだけは別の窓口で自分から進めなければなりません。
登録が完了すると、取引先に伝えるための登録番号が発行されます。この番号は請求書に記載する項目のひとつで、番号が正しいかどうかは国税庁の公表サイトで確認できます。

資本金額が登録免許税と定款認証手数料に与える影響
この額は、登録免許税の計算方法にも直接影響します。会社設立の登記にかかる登録免許税は、資本金の額の1000分の7(0.7%)で、15万円に満たない場合は15万円が下限です(中小企業庁、2026年8月21日確認)。300万円なら0.7%で21,000円ですが、下限の15万円のほうが高いため、納める額は15万円になります。2,500万円なら0.7%で17万5,000円となり、こちらは下限を上回ります。
定款認証手数料の4段階は資本金額と発起人の要件によって決まります。額等が100万円未満で一定の要件を満たせば1万5,000円、満たさなければ3万円、100万円以上300万円未満なら4万円、300万円以上ならその他の場合も含め5万円です(日本公証人連合会、2026年8月21日確認)。
大きくするほど、この2つの法定費用は増える方向に動きます。総額を見積もる際は、0.7%の税率で変わる登録免許税と、段階に分かれる定款認証手数料を、金額を決めた時点であわせて計算してください。この計算を後回しにすると、資金計画の見通しがずれます。
この0.7%で計算した登録免許税は、登記申請書とあわせて法務局へ提出する際に、原則として収入印紙で納めます。オンライン申請の場合は、電子納付にも対応しています。この納付方法は、会社設立の申請を自分で進める場合、事前に確認しておく必要があります。


まとめ|資本金額は複数の基準を自分で比べて決める
ここまで見てきたとおり資本金額には法律上の下限はありませんが、決め方には複数の判断材料があります。設立直後に必要な運転資金、登記時に公開情報となる信用面、そして税率0.7%で計算する登録免許税や、4段階に分かれる定款認証手数料、免税判定への影響です。
この額が1,000万円を下回る場合、最低限、設立当初は消費税の免税事業者になれますが、特定期間の課税売上高・給与等支払額を基準とした例外があり、インボイス発行事業者として登録すれば金額にかかわらず課税事業者としての立場になります。この一点だけを見て免税を確定的に考えるのは避けてください。
マネーフォワードの「会社情報入力」画面に資本金額を入れれば、定款や登記申請書のひな形は自動で作られますが、金額そのものの判断は利用者が担います。迷う場合は、税理士など専門家に自社の数字を示して相談する方法も、書類作成の外側にある現実的な選択肢のひとつです。会社設立を終えたあとも、この記事で挙げた基準は事業計画の見直しのたびに読み返してください。



