この記事は、マネーフォワード クラウド会社設立を使って株式会社の会社設立を自分で進めていて、定款認証まわりの費用や手続きについて何かがおかしいと感じながらも、どこが誤解なのかを自分では特定できずにいる人に向けて書いていて、会社設立の相談窓口では、4段階に分かれる定款認証手数料を、税率1000分の7・下限15万円で決まる登録免許税や印紙代と混同したまま資本金額を決めてしまい、あとから予算を組み直す人を見かけます。ここでは日本公証人連合会と法務局の一次情報をもとに、定款認証をめぐってよくある3つの勘違いを取り上げ、それぞれどこがどう間違っているのか、マネーフォワード クラウド会社設立の画面ではどこまでを自分で判断すればよいのかを整理します。
定款認証まわりでつまずきやすい3つの分岐点
株式会社の会社設立を自分で進めようとする人が定款認証のあたりで足を止める理由は、手続きが難しいからというより、似た名前の費用や制度がいくつも並んでいて、どれがどの場面の話なのか整理しにくいからです。定款認証手数料・登録免許税・印紙代はいずれも会社設立にかかる法定費用ですが、支払う相手も金額の決まり方もまったく別物です。この違いを曖昧なまま進めると、資本金額を決める段階や見積もりの段階で計算が狂うことがあり、会社設立の準備を自分で進める人ほど、早い段階でこの3つの違いを切り分けておく価値があります。
この記事では、実際によくある3つの分岐点を順番に取り上げます。ひとつ目は手数料の一律思い込み、ふたつ目はマネーフォワードの費用比較表の数字の読み違い、みっつ目は手数料の種類そのものの混同です。加えて、公証役場をどこでも自由に選べると誤解しているケースも取り上げます。
いずれも日本公証人連合会や法務局といった一次情報を確認すれば正しい理解にたどり着けるものばかりです。会社の設立を控えた人がこの段階でつまずくと、資本金額の決定や資金の準備計画そのものが遅れてしまいます。次の項目から、それぞれの分岐点を具体的に見ていきます。


分岐点1|手数料は一律という古い理解
もっとも多い誤解は、定款認証手数料は昔からずっと一律5万円だという思い込みです。かつては一律5万円だった時期もありましたが、令和4年1月1日の改定でこの一律の扱いは終わり、資本金額等に応じて3万円・4万円・5万円の3段階に分かれる仕組みに変わりました。さらに令和6年12月1日からは、発起人が全員自然人で3人以下であることなど3つの要件を満たす小規模な会社向けに、1万5,000円という段階が新設されています(日本公証人連合会、2026年8月21日確認)。
つまり現時点では、資本金の額等と発起人の要件の組み合わせによって、1万5,000円・3万円・4万円・5万円という4段階のいずれかに決まります。一律5万円だったという古い理解のまま資本金額を決めてしまうと、実際より高い金額を見込んで資金計画を立てすぎたり、逆に低く見積もって当日に不足したりする原因になります。
この誤解が根強いのは、かつて一律だった時期の情報や、令和4年1月1日改定時点の情報がインターネット上にまだ多く残っているためです。マネーフォワード クラウド会社設立の会社情報入力という画面で資本金の金額を確定させる前にこの4段階を確認しておけば、あとから金額を見直す手間を避けられます。自分で会社設立を進めるなら、参照する情報が令和6年12月1日以降の基準に沿っているかどうかを、まず確認しておく必要があります。


分岐点2|「1.7万円」を確定額だと思い込む
マネーフォワード クラウド会社設立の費用比較表などで「1.7万円」という数字を見て、これが自社に確定した金額だと思い込んでしまうケースもあります。この数字はあくまで目安として示された一例であり、実際の金額は資本金の額等と発起人の要件という条件によって、前の項目で挙げた4段階のいずれかに当てはまる形で決まります。目安の数字と自社の条件を照らし合わせずに資金を確保すると、想定より高い段階に該当していたときに資金が足りなくなります。
この目安と実額のずれは、比較表というフォーマットの性質上どうしても起こりやすいものです。複数の費用項目を一覧で見せる比較表は、代表的な条件をひとつ選んで金額を示すことが多く、その代表例がすべての読者に当てはまるとは限りません。会社設立の費用を自分で見積もる際は、比較表の数字を出発点にしつつ、自社の資本金額、発起人の人数、取締役会を置くかどうかを個別に突き合わせる作業が欠かせません。
この確認は、日本公証人連合会が案内する条件と自社の状況を突き合わせるだけで完結し、特別な専門知識は必要ありません。分からない場合は、認証を依頼する予定の公証役場に直接問い合わせれば、その場で該当する段階を教えてもらえます。窓口によっては、定款案をメールやファックスで送っておくと、来訪日までに金額を確定させてもらえることもあります。


分岐点3|似た名前の3つの費用を取り違える
株式会社の会社設立には、名前の似た費用がいくつも登場するため、支払先も金額の根拠も異なる3つの費用を一つのものだと誤解してしまうことがあります。登録免許税は法務局へ納める設立登記の費用で、資本金の額の1000分の7、15万円に満たない場合は15万円という計算方法で決まります。印紙代は紙の定款を作った場合にのみ発生する収入印紙の費用で、電子定款であれば不要になります。そして定款認証手数料は公証役場へ払う、公証人による確認の対価であり、紙でも電子でも金額は変わりません。
この3つを混同すると、電子定款にすれば認証の対価まで安くなると誤って理解したり、登録免許税の15万円という下限額を認証手数料の話だと取り違えたりします。それぞれの支払先が法務局・公証役場・(紙の場合のみ)収入印紙という異なる窓口である点を意識すると、混同を避けやすくなります。3つのうち登録免許税だけは、設立登記を申請する段階で法務局に納める後払いの費用である点も、認証手数料や印紙代との違いのひとつです。
会社設立の総額を自分で計算するときは、この3つを別々の欄として並べ、それぞれの計算方法と条件を書き添えておくことになります。例えば資本金200万円・電子定款で設立する場合は登録免許税が資本金額の1000分の7で14万円(15万円に満たないため最低額の15万円が適用)、印紙代は電子であれば0円、認証手数料は4万円かかるというのが内訳です。3つの内訳は別々に確定します。合算した総額だけを見ていると、どの項目が資本金額の影響を受けるのかが見えにくくなります。


分岐点4|「公証役場はどこでもよい」という誤解
公証役場は全国のどこでも自由に選べると考えている人もいますが、実際には公証人は自身が所属する法務局の管轄区域内でのみ職務を行うことができるため、これから設立する会社の本店の所在地に対応した都道府県内の公証役場でしか受け付けてもらえません。日本公証人連合会は都道府県ごとに窓口の一覧を案内しており、この一覧から対応する場所を確認できます(2026年8月21日確認)。一覧には各公証役場の所在地と連絡先が掲載されており、電話予約に対応しているかどうかもあわせて確認できます。
この誤解に気づかないまま、たまたま近所にあった窓口や知人に紹介された窓口に連絡してしまうと、本店の所在地と管轄が合わず、あらためて別の窓口を探し直すことになります。特に本店の所在地をまだ確定させていない段階で窓口探しを先に始めると、住所が固まった時点で選び直しが必要になる場合があります。
自分で会社設立を計画するなら、本店の所在地をある程度固めたうえで対応する窓口を確認する順序にすると、この分岐点でのやり直しを避けやすくなります。設立日程全体を組むうえでも、この窓口選びは早い段階で片付けておきたい工程のひとつです。次の項目では、合同会社を検討している場合にこの認証の話がどう変わるかを見ていきます。


検討中の合同会社|認証そのものが不要という違い
ここまでの分岐点は、いずれも株式会社を設立する場合の話です。合同会社を設立する場合は、そもそも定款認証という手続き自体が不要になり、公証役場へ支払う1万5,000円から5万円までの手数料も発生しません。これは株式会社と合同会社の大きな違いのひとつで、認証の要否という一点だけを見れば合同会社のほうが手続きも費用も軽くなります。
ただし、どちらを選ぶかは認証の有無だけで決められるものではなく、株式会社と合同会社では出資者の呼び方や意思決定の仕組み、対外的な信用のされ方など、他にも異なる点があります。会社設立の目的が資金調達や対外的な信用を重視するものであれば、認証の要否だけで判断しないほうがよいという意見も少なくありません。合同会社の設立手続きの詳細については、このサイトでは深く立ち入りませんが、認証が不要になる分だけ定款まわりの費用が軽くなるという点は、両者を比較する際の材料のひとつになります。
株式会社を自分の手で設立すると決めている場合は、ここまで見てきた4段階の手数料と、本店の所在地に対応した窓口選びの2点を押さえておけば定款認証の分岐点で迷うことは少なくなります。


マネーフォワードの画面ではどこまで自分で判断できるのか
マネーフォワード クラウド会社設立には、定款の作成方法の選択という画面と、定款の受け取り場所の選択という画面、そして定款作成費用のお支払いの画面もあり、これらはいずれも発起人が自分で選んだり支払ったりする項目です。マネーフォワードの公式ヘルプページでは、電子か紙かの選択と、窓口の指定までがこのツールの案内範囲であることが2026年8月21日時点で確かめられます。
一方で、自社の資本金額と発起人の要件から、4段階のうちどの手数料に該当するかという判定は、マネーフォワードの画面が自動で表示してくれるわけではありません。この判定は、日本公証人連合会の案内する条件を自分で照らし合わせるか、指定した窓口に直接問い合わせて確認する必要があります。電話やメールで問い合わせれば、出資額と発起人が何人かを伝えるだけでその場で該当する段階を教えてもらえることがほとんどです。マネーフォワードが担うのは書類の組み立てまでで、金額の確定と、窓口での支払い・受け取りという部分は発起人自身の役割として残ります。
この線引きを知らずにいると、ツールがすべて自動で計算してくれると思い込んだまま窓口に行き、想定外の金額を提示されて戸惑うことになります。会社設立を自分で終えるには、マネーフォワードが担う範囲と、発起人が自分で確認すべき範囲を、事前に切り分けておく必要があります。この切り分けができていれば、窓口で提示された金額が高いのか妥当なのか、その場で判断しやすくなります。


まとめ|4つの誤解を自分でチェックする
定款認証をめぐる勘違いは、手数料が一律だという思い込み、費用比較表の目安を確定額と取り違えること、登録免許税(資本金額に対して1000分の7)・印紙代・認証手数料という別々の費用を混同すること、そして公証役場をどこでも自由に選べると誤解することの4つに大きく分かれます。いずれも日本公証人連合会や法務局といった一次情報を確認すれば、正しい理解に修正できるものです。会社設立の準備を進める人ほど、この4つのどれかに一度は触れることになります。
株式会社を自分の手で設立するなら、まず資本金額等と発起人まわりの条件を整理して4段階のどれに該当するかを見極め、次に本店の所在地に対応した公証役場を確認し、登録免許税や印紙代とは別枠の費用として資金を確保しておくという順序で進めると、この記事で挙げた分岐点のいずれでも迷いにくくなります。マネーフォワード クラウド会社設立は書類の組み立てと窓口の指定までを担ってくれますが、金額の該当段階を見極める作業と、窓口での支払い・受け取りは発起人自身が担う範囲です。この線引きを踏まえておけば、会社設立にまつわる4つの誤解のどれにぶつかっても、自分の手で判断し直せる状態を保てます。



