この記事は、個人事業主として事業を続けながら、株式会社の設立をいつ検討すればよいのか迷っている人に向けて書いています。会社設立を自分で進める場合、書類の作成自体はマネーフォワード クラウド会社設立でおおむね完結しますが、法人化すべきタイミングの判断は税率や固定費の構造を理解したうえで自分で行う必要があります。ここでは個人事業主と株式会社を6つの軸で比較し、法人化を決めたあとにマネーフォワードのどの画面から手続きを進めるかまで具体的に見ていきます。
比較を始める前に:個人事業主と株式会社は制度としてどう違うのか
個人事業主として事業を営む場合と、株式会社を設立して法人として事業を営む場合とでは、税金の計算方法だけでなく、負う責任の範囲や社会保険の扱いまで、制度の土台そのものが異なります。国税庁の案内によれば、個人で事業を始めた場合と法人を設立した場合とでは、税務署への届出の種類や課税の仕組みが変わります(国税庁「個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき」による、2026年8月21日確認)。
個人事業主は、開業届を提出すればその日から事業を始められ、事業で得た所得はすべて事業主個人の所得税として申告します。一方、株式会社を設立するには、定款の作成・認証、出資金の払込み、法務局への登記申請という手順を踏む必要があり、法人としての所得は事業主個人の所得税とは別に、法人税として申告することになります。会社設立を自分で進める場合、この手順の大部分はマネーフォワード クラウド会社設立の画面に沿って進められますが、どのタイミングで法人化するかという判断自体は、ツールが代わりに出してくれるものではありません。
次のセクションから、個人事業主と株式会社を6つの軸で順に比較していきます。最初に見るのは、もっとも影響が大きい税率の構造の違いです。

軸1|税率の構造の違い(所得税の超過累進税率と法人税の2段階税率)
個人事業主と株式会社を比較するとき、最初に押さえておきたいのが税率の構造の違いです。個人事業主の所得には所得税がかかり、国税庁の速算表(2026年8月21日時点、令和7年4月1日現在法令等による)では、課税される所得金額に応じて5%から45%までの7段階に分かれる超過累進税率が適用されます。課税所得900万円〜1,799万9千円の部分は33%(控除額153万6,000円)というように、所得が増えるほど段階的に税率が上がる仕組みです。
これに対して、資本金1億円以下の中小法人が株式会社として得た所得には法人税がかかり、国税庁の税率表によれば、年800万円以下の所得部分には15%、年800万円を超える部分には23.2%という2段階の税率が適用されます(原則税率、2026年8月21日時点の国税庁公表情報による)。ただしこの15%は法人税法本則の19%に対する租税特別措置法上の時限的な軽減措置であり、中小企業庁の公表情報では、令和9年3月31日(2027年3月31日)までに開始する事業年度分に適用される措置とされています。恒久的な税率と決めつけると、期限を過ぎたときに前提が崩れます。
所得税と法人税は、どちらも一定額を超えた部分の税率が上がる点は共通していますが、境目になる所得水準と税率の刻み方が違います。マネーフォワード クラウド会社設立を使って会社設立の書類を自分で準備する場合も、この税率の違いを理解しておくことが法人化のタイミングを検討する出発点になります。次のセクションでは、この税率の違いとは別に発生する、赤字でもかかる固定費の違いを見ていきます。


個人事業|税金の種類(国税庁)を参照。
軸2|赤字でも発生する固定費の違い(法人住民税・均等割)
税率の違いと並んで見落とされやすいのが、利益が出ない年でも発生する固定費の有無です。個人事業主は、所得税・住民税・個人事業税のいずれも、その年の所得がゼロまたはマイナスであれば発生しません。所得が無ければ税負担も無い、という単純な構造です。
一方、株式会社には法人住民税の均等割という固定費があります。総務省の公表資料(2026年8月21日時点、法人住民税の均等割区分表による)によれば、資本金等の額1,000万円以下・従業者数50人以下という、もっとも低い区分でも、都道府県民税2万円と市町村民税5万円を合わせて年額7万円の均等割が標準税率として発生します。均等割は法人税とは別枠の負担であり、その事業年度の所得がゼロであっても、事業所が存在する限り毎年納付しなければなりません。この年額7万円は地方税法上の標準税率であり、自治体によっては条例で上回る額を定めている場合があるため、実際の税額は事務所所在地への確認が必要です。
会社設立を検討する際、税率だけを個人事業主と比較して法人のほうが有利と判断すると、この均等割の存在を見落としがちです。株式会社を自分で設立する場合、赤字の年であっても年間7万円前後の固定費が発生する前提で資金繰りを考えることになります。マネーフォワード クラウド会社設立を使って会社設立の書類作成を終えたあとも、この均等割という固定費への備えは自分で進める資金計画の一部です。次に見ていくのは、税負担とは別の切り口である、代表者個人が負う責任の範囲の違いです。


軸3|代表者が負う責任の範囲の違い(株主有限責任と個人保証)
3つ目の軸は、事業がうまくいかなかった場合に代表者個人がどこまで責任を負うかという違いです。会社法第104条は「株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする」と定めており、株式会社の株主は、出資した金額を超えて会社の債務を弁済する責任を負いません(デジタル庁 e-Gov法令検索による、2026年8月21日確認)。これが株主有限責任と呼ばれる原則です。
個人事業主には、この会社法第104条のような責任の上限を定めた規定が存在しません。個人事業主が事業のために負った債務は法律上その個人の債務そのものであり、事業用の財産と個人の財産を区別せず、全財産をもって弁済する責任を負います。個人事業主が株式会社になると、この無限責任の状態から抜け出せるという説明はよく見かけますが、正確には株主としての責任の範囲が限られるだけである点に注意が必要な部分です。
代表者が金融機関からの借入に個人として連帯保証をしている場合、その保証債務については会社の株主有限責任とは別に、代表者個人が事実上重い負担を負います。また取締役には会社法第423条に定める任務懈怠責任が別途あり、株式会社を設立すれば代表者個人の負担が一律にゼロになるわけではありません。自分で法人化を検討する際は、有限責任という建前と、個人保証・取締役の責任という実務上の負担を分けてとらえる必要があります。

軸4|社会保険が強制加入になる基準の違い
4つ目の軸は、健康保険・厚生年金保険への加入義務の基準です。日本年金機構の公表情報(2026年8月21日時点、適用事業所と被保険者による)によれば、株式会社などの法人の事業所は、代表者一人だけであっても、報酬を受けていれば強制適用事業所となり、厚生年金保険・健康保険への加入が義務になります。
個人事業主の場合は基準が異なります。強制適用事業所となるのは、常時5人以上の従業員を使用する個人の事業所です(農林漁業・サービス業など一部業種を除く)。従業員が5人未満の個人事業所は、従業員の半数以上の同意と事業主の申請があれば任意適用事業所になれますが、加入するかどうかは任意です。
この違いは、法人化のタイミングを考える際の実務的な負担の差に直結します。株式会社を設立すると代表者一人の報酬であっても社会保険料の負担が発生する一方、個人事業主のまま従業員を5人未満に抑えている間は、その負担自体が発生しません。役員報酬の金額の決め方によって社会保険料の水準も変わるため、法人化後は報酬額と保険料負担をあわせて自分で試算しておく工程が欠かせません。個人事業主から法人化して会社設立の手続きをマネーフォワード クラウド会社設立で自分で進める場合も、この社会保険料の増加分だけは入力画面の外で自分自身が試算しておく工程です。

軸5|インボイス登録・消費税の免税期間という切り口
5つ目の軸は、消費税とインボイス登録の扱いです。個人事業主・株式会社のいずれも、原則として資本金1,000万円未満であれば設立から2期は消費税の免税事業者になれるという制度自体は共通していますが、法人化すると免税期間の数え方が事業年度という単位に切り替わる点が異なります。ただし特定期間の課税売上高・給与等支払額など条件により、第2期から課税事業者になる場合があるため、免税が自動的に2年間続くとは限りません。
インボイス発行事業者の登録をしている場合は、資本金の額にかかわらず登録した時点から課税事業者になります。個人事業主として既にインボイス発行事業者の登録をしている人が法人化する場合、国税庁の案内によれば、新設法人としての届出とあわせて登録番号の切り替え手続きが必要になります。この判断は資本金の額や事業年度の設定と合わせて行う必要があり、免税期間だけを見て法人化のタイミングを決めると、想定より早く課税事業者になるケースもあります。
消費税の免税の可否は、資本金の額・特定期間の課税売上高・インボイス登録の有無という複数の条件により結論が変わるため、この記事だけで結論を出さず、資本金の額をいくらにするかという論点も含めて個別に確認しておく工程が必要です。マネーフォワード クラウド会社設立を使って会社設立の手続きを進める際も、この免税期間の判断はツールの外側で自分で行う工程です。

軸6|「法人化した方が得」と言われる目安をどう読むか
個人事業主から株式会社への法人化を検討する記事では、課税所得800万円を超えたら法人化した方が得という目安がよく紹介されます。この数字は、国税庁の所得税率表で税率が33%に上がる900万円前後の水準と、中小法人の法人税率表で15%が適用される800万円以下という水準を単純に見比べたときに、税率の逆転が起こりやすい目安として、複数の解説記事で共通して言及されている水準にすぎません。国税庁や中小企業庁がこの800万円という金額を法人化の公式な基準として定めているわけではない点は、はっきりさせておく必要があります。
実際に有利・不利を判断するには、法人住民税の均等割(赤字でも年7万円前後)、社会保険料の負担増加(役員報酬のおおむね30%前後、会社と折半)、税理士報酬などの実務コストまで含めて試算しておく工程が欠かせません。課税所得が800万円を超えている人でも、これらの負担増加分を差し引くと、法人化による有利さが小さくなるケースがあります。
断定できる公的な単一基準が存在しない以上、800万円という数字は法人化を検討し始める合図として使い、実際の判断は自分の所得・家族構成・社会保険の状況を反映した個別の試算と、税理士への相談を経て行うのが実務的な進め方です。会社設立をマネーフォワード クラウド会社設立で自分で進める人ほど、この800万円という目安の数字だけで判断を終わらせず、自分の状況に置き換えて確認する視点が欠かせません。

保険料率(全国健康保険協会)を参照。
法人化を決めたら、マネーフォワードのどの画面から株式会社の設立を進めるか
ここまでの6つの軸を踏まえて法人化を決めた場合、会社設立の書類作成そのものはマネーフォワード クラウド会社設立で自分で進められます。公式の「会社設立の流れ」ページのSTEP1にあたる「会社情報入力」画面では、商号・事業目的・本店所在地・資本金の額といった基本情報を入力します。個人事業主から法人化する場合、屋号をそのまま商号にできるとは限らないため、法務局のオンライン登記情報検索サービスで類似商号の有無を確認しておくと手戻りが少なくなります。
基本情報の入力に続いて、発起人が誰かを入力する「発起人情報」欄があります。個人事業主一人が株式会社を設立する場合、自分がそのまま発起人・設立時取締役の両方を兼ねる形で入力を進められます。定款の作成方法は、STEP2にあたる「定款の作成方法の選択」画面で選び、電子定款で作成する場合は「電子定款を選択」のトグルを切り替えます。電子定款を選ぶと紙の定款の収入印紙4万円が不要になりますが、電子署名を行う提携行政書士への事務手数料は別途発生するため、マネーフォワードの料金案内で確認しておく必要があります。
その後、公証役場での定款認証を経て「出資金の入金」画面で資本金を払い込み、印刷した登記書類を法務局へ持参または郵送する「法務局へ登記書類の提出」画面まで進めば、書類作成の部分は完了します。設立登記完了後は「設立後の手続き」画面の案内で法人設立届出書などを税務署へ届け出ますが、この記事で見てきた均等割や社会保険の加入判断は、MFの入力画面の外側で自分自身が行う判断です。マネーフォワードの画面はあくまで書類を仕上げるための入り口であり、法人化そのものの損得判断を代わりに出してくれるわけではありません。


まとめ:6つの軸は「優劣」ではなく「自分の数字」で読む
個人事業主と株式会社を比較する6つの軸は、税率の構造、固定費の違い、責任の範囲、社会保険の基準、インボイスと免税期間の考え方、800万円という目安の読み方であり、どれも法人化が一律に得か損かを決めるためのものではなく、自分の状況に当てはめて判断するための材料です。
会社設立の書類を仕上げる工程自体は、マネーフォワード クラウド会社設立の「会社情報入力」画面から「法務局へ登記書類の提出」画面まで、自分で完結させやすい設計になっています。一方、法人化すべきタイミングの判断は、所得税と法人税の税率差、均等割という固定費、社会保険料の負担増、そしてインボイス登録の状況まで含めた個別の試算が前提になり、この判断自体はツールの外側で自分が行うものです。
ここで挙げた6つの軸を一つずつ自分の数字に置き換えたうえで、判断に迷う部分が残る場合は、税理士など専門家に個別の試算を相談することを検討してください。会社設立を自分で進める場合でも、税務・社会保険・決算・役員報酬というツールでは自動化できない工程まで見据えて、法人化のタイミングを決めることが実務的な進め方です。





