この記事は、マネーフォワード クラウド会社設立を使って株式会社の設立を自分で進めようとしている人のうち、「結局どの順番で何をすればいいのか分からない」という段階でつまずいている人に向けて書いています。手続き全体は、画面への入力と、公証役場・法務局へ自分で足を運ぶ作業が交互に組み合わさっており、順番を取り違えると手戻りが発生します。特に公証役場や法務局とのやり取りが挟まる場面は、画面だけを見ていると見落としがちです。公式ガイドが示すStep1からStep3までの区切りに沿って、何が先で何が後になるのかを時系列で整理します。
会社設立の全体像|Step1〜3の順番が入れ替えられない理由
マネーフォワード クラウド会社設立の手続きは、公式サイトの「会社設立の流れと方法」によれば、Step1(会社情報入力)、Step2(定款の作成・認証と登記申請)、Step3(設立後の手続き)という3つの区分で進みます。この3区分は独立した作業の並びではなく、前の区分で確定した情報や書類が、次の区分の前提になる構造です。Step1で入力する会社名・事業目的・資本金額は、そのままStep2で作る定款の記載事項になるため、前段が終わらないうちに先へ進んでも、定款の内容を決められません。
Step2の内側でも順番は固定されています。定款は公証役場で認証を受けてから登記書類に添付するものなので、認証が済む前に法務局へ書類を出すことはできません。資本金の振り込みも定款認証のあとに行う工程として案内されており、認証前に振り込んでも、その払い込みを証明する書類としては使えません。Step3の届出書類も、法務局で登記が完了し、証明書を受け取ったあとでなければ、正確な設立日を反映できません。
つまりこの並び順は、画面上の見た目ではなく、法的な前提関係によって決まっています。この前提関係は、Step1からStep3のどこを自分で進めていても変わりません。Step1は画面の案内どおりに入力すれば終わる一方、Step2は画面内の工程と、公証役場・法務局へ自分で足を運ぶ工程が交互に並ぶため、工程の数そのものがStep1より多くなります。以下は、Step1の入力項目からStep3の届出期限までを、実際の日数の目安とあわせて時系列順に並べたものです。

最初の一歩|アカウント作成とStep1の6項目入力
会社設立を自分で進める最初の作業は、マネーフォワード クラウド会社設立への会員登録です。メールアドレスなどでアカウントを作ると、続けて「会社情報入力」という画面が表示されます。ここでは、会社名・本店所在地・代表者・事業目的・資本金額・決算時期という6項目を、上から順に埋めていきます。公式のサポートガイド「STEP1 会社設立に必要な情報の入力」では、この6項目を一通り埋めることで、定款や登記申請書のもとになるデータが揃うと説明されています。
このうち資本金額と事業目的は、ツールが自動で決めてくれるものではありません。会社法上、資本金額の下限に定めはなく1円からでも株式会社を設立できますが、消費税法では資本金額が1,000万円未満であれば原則として設立から2期は納税義務が免除されるという条件があります。事業目的も、法務局の審査を通りやすい言葉を自分で選ぶ必要があり、迷う場合はこの段階で司法書士に相談する人もいます。資本金額は、会社設立後の税務にも関わるため、決算時期とあわせて自分で慎重に検討する項目です。決算時期は事業年度の区切りとなり、税務署への申告期限にも影響します。入力内容は途中で保存できるため、決めきれない項目があれば、いったん保存して情報を集め直すことも可能です。
6項目を埋め終えると、あとの工程はStep2の中の複数の画面へと引き継がれます。ここでの入力内容が、次に見る印鑑や定款まわりの選択の前提になるため、空欄のまま先へ進むことはできません。


Step2前半|印鑑購入から定款の方式決定まで
Step1の入力が済むと、Step2の中の複数の工程が順番に現れます。最初にあるのは「印鑑購入」画面で、印鑑を自分で用意するか、サービス内で購入するかをここで選びます。すでに実印を持っている場合は、購入せずに自分で用意する側を選ぶこともできます。購入する場合は柘(つげ)4,980円・黒水牛10,500円・チタン33,340円という3種類から選べ、いずれも税・送料込みの金額です(マネーフォワード公式の料金ページより、確認日2026年8月21日)。
続いて表示されるのが「定款の作成方法の選択」画面です。電子定款と紙定款のどちらで進めるかをここで決めます。電子か紙かで選ぶと、提携する行政書士が作成・電子署名する形で公証役場の認証が得られ、紙で必要になる収入印紙40,000円が不要になります。紙定款を選ぶ場合は、行政書士を介さずに自分で公証役場へ持ち込んで認証を受ける流れになるため、こちらとは日程の組み方が変わります。次の画面では、日本公証人連合会が公表する一覧をもとに、認証を依頼する役場を自分で指定します。その次の画面で電子定款作成費用や印鑑代(希望者のみ)を銀行振込で支払うと、この前半部分は一区切りです。
4つの画面は上から下へと決まった並びで現れ、途中を飛ばして先へは進めません。支払いが済むと、あとは行政書士からの連絡を待つ番になり、話は次のセクションで見る受け取りの工程へ移ります。


定款の受領から資本金の払い込みまで
支払いを終えると、認証済みの書面が用意されるまで待つ時間が生じます。電子定款であれば、行政書士からメールで届くまでの目安は通常5営業日です(マネーフォワード公式ガイドの表示を2026年8月21日に確認)。案内に沿って、指定した公証役場でこれを自分の手で受領します。
受領したあと、順番として次に来るのが「出資金の入金」画面です。会社法第34条は、発起人は設立時発行株式の払込金額の全額を払い込まなければならないと定めており、この手続きは定款が整ったあとに行うものとして位置づけられています。発起人名義の口座へ資本金を移し、通帳のコピーなどで払い込みを証明できる状態にしてから、次の書類提出へ進みます。この証拠は、次の書類提出時に法務局へ出す書面の一部としてまとめておきます。
ここまでの2つの工程は、どちらも画面の外で自分が動く場面です。入金が終わった時点の口座残高・記帳内容は、続くセクションで見る登記申請書一式に添える書面の根拠になります。

登記書類の提出から完了までと2週間の期限
払い込みが済むと、「法務局へ登記書類の提出」画面から申請書一式をダウンロード・印刷し、自分で法務局へ持参します。会社法第911条第1項により、設立時取締役等による調査が終了した日と発起人が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内に、本店所在地で設立の登記をしなければならないと定められています(デジタル庁e-Gov法令検索、2026年8月21日確認)。この期限は認証を受けた日を起点にした期限ではないため、そこから日数を数えないよう気をつけてください。書面での持参・郵送のほか、法務局の「登記・供託オンライン申請システム」を使えば代表取締役本人がマイナンバーカードで申請する方法もありますが、これには専用のICカードリーダライタも必要になるため、多くの場合はマネーフォワードの標準的な流れどおり、印刷して窓口へ運ぶ運用が選ばれています。
完了までの日数は、全国一律で決まっているわけではありません。法務局は登記所ごと・受付日の範囲ごとに完了の見込みを公表しており、書類に不備がある場合や管轄外への本店移転を伴う場合などは、その見込みより遅れることがあります。たとえば東京法務局は、受付日の範囲ごとに完了の見込みをページ上で公表しています。見込みの日を過ぎたら、案内に沿って再び窓口へ向かい、証明書を受け取ります。
受け取った書面に記載された日付は、この時点で自分でマネーフォワードの画面上に登録します。会社法第976条第1項第1号により、これを怠ると100万円以下の過料の対象になり得ますが、これは行政上の制裁であり、期限を過ぎても手続き自体ができなくなるわけではありません。

費用が発生する順番をStep1〜3で並べる
会社設立の費用は、Step1からStep3まで一度に発生するわけではなく、工程ごとに支払うタイミングが分かれています。最も早いのはStep2前半の支払い画面で払う電子定款にかかる費用と、購入する場合の印鑑の代金です。この費用は通常税込5,000円で、マネーフォワード クラウドの有料プラン契約者はこれが実質無料になります(マネーフォワード公式の料金ページの表示を2026年8月21日に確認)。印鑑は柘4,980円からで、こちらも画面内の支払いです。
その次に発生するのが、法務局へ書類を出す時点で納める登録免許税です。株式会社の登録免許税は、資本金の額の1000分の7(0.7%)で計算し、この金額が15万円に満たないときは15万円になります(中小企業庁「会社設立時の登録免許税の軽減について」、2026年8月21日確認)。15万円はあくまで下限であり、資本金の額がおよそ2,143万円を超えると15万円を上回ります。定款認証手数料は資本金額などの条件により1万5,000円〜5万円の4段階に分かれており、こちらは公証役場で書面を受け取る前に発生します。
支払いの順に並べると電子定款作成費用と印鑑代(Step2前半)、定款認証にまつわる手数料(受け取りまで)、そして窓口提出時に納める税額、という並びになります。資本金額を当てはめて事前に概算しておくと、窓口へ持参する時点で必要な金額を把握できます。この3つの支払いタイミングをカレンダーに書き出しておくと、会社設立全体でいつまでにいくら必要かが分かります。


Step3|届出期限のカウントダウン
登記が完了し窓口で証明書を受け取ると、画面はStep3「設立後の手続き」に切り替わります。ここでは、それまでの入力内容をもとに、年金事務所・税務署・都道府県税事務所へ出す書類が自動で作られます。ただし、実際に窓口へ持って行く作業や法人口座を開く作業は、画面だけでは終わらず、自分で対応する必要があります。
届出には期限があり、登記が完了した日を起点に順番が刻まれていきます。国税庁の案内によれば、法人設立届出書は設立の日以後2か月以内、青色申告の承認申請書は設立の日以後3か月を経過した日と設立第1期の事業年度終了日とのいずれか早い日の前日まで、給与支払事務所等の開設届出書は開設の事実があった日から1か月以内が期限です(国税庁の案内を2026年8月21日に確認)。この3つのうち、給与に関する届出が最も早く到来します。資本金額や事業内容によっては、消費税の新設法人に該当する旨の届出など、条件により追加の書類が要る場合もあります。この4つの期限をカレンダーに入れておくと、会社設立後の届出をまとめて把握でき、抜け漏れも防げます。
社会保険の届出は、役員報酬の決め方によって順番が変わります。日本年金機構によれば、厚生年金保険の適用事業所には代表者一人だけの会社も含まれますが、これは報酬を受け取っている場合の話です。役員報酬が0円(無報酬)であれば被保険者にはならず、金額を決めた時点で年金事務所への手続きに移ります。


まとめ|会社設立の順番にある3つの分岐点
ここまでのStep1〜Step3を振り返ると、進め方には3つの分岐点がありました。1つ目はStep1の入力完了と定款の方式決定、2つ目は認証済み書面の受領と資本金の振り込み、3つ目は登記完了と窓口での証明書受領です。いずれも、前の工程が終わらないと次には進めない関係にあります。
期間の面では、電子定款が届くまでの目安は5営業日、登記の申請は会社法第911条第1項により2週間以内という期限があり、完了までの日数は法務局が公表する見込みによって前後します。費用の面では、電子定款にかかる費用と印鑑代がStep2前半、登録免許税(0.7%で計算し15万円に満たなければ15万円)と定款認証手数料(条件により4段階)が受領から窓口提出までの間に発生します。
自分で会社設立を進める場合、この並びを最初に一通り押さえておくと、今どの工程にいるかを迷わずに判断できます。マネーフォワードの画面上の作業と公証役場・法務局への訪問を合わせて自分の計画に落とし込めば、次にすべきことがこの順番から逆算できます。設立後の税務・社会保険・決算・役員報酬まで自分だけで抱えるのが不安な場合は、税理士など専門家に一部を任せる選択肢もあります。



