この記事は、マネーフォワード クラウド会社設立を使って株式会社の設立を自分で進めようとしていて、合同会社にした場合の費用面でどれくらい差があるのか知りたい人に向けて書いています。会社設立の総額そのものは、このサイトの「会社設立 費用」カテゴリーで内訳を細かく取り上げていますが、この記事では視点を変え、株式会社という会社形態を選ぶこと自体が費用にどう影響するのかを合同会社も交えて整理します。登録免許税は0.7%が基準で下限額が会社の種類ごとに違う点、定款認証手数料は1万5,000円から5万円の4段階に分かれる点、そして取締役会を設置するかどうかという選択が費用にどう関わるのかを、法務局・中小企業庁・日本公証人連合会の一次情報とマネーフォワードの公式ページの両方から確認していきます。マネーフォワードの画面がどこまで会社設立の手続きに対応してくれるかも、あわせて見ていきます。
費用が高くなる理由は2つに絞られる
会社設立の費用がなぜ合同会社より高くなりやすいのかを法定費用の内訳から見ていくと、要因は主に2つに絞られます。ひとつは登録免許税で、0.7%という税率は共通でも、計算した額が一定の金額を下回ったときに納める最低額(下限)そのものが種類ごとに異なります。もうひとつは公証役場での認証にかかる手数料で、これはある種類の会社にしか発生しません。この2つを合わせると、同じ資本金額でも法定費用の合計は9万円以上の開きになります。
マネーフォワードを使ってこの手続きを自分で進めようとしている読者の多くは、比較サイトの一覧表でどちらの総額も目にしているはずですが、開きがどこから生じているかまで説明する記事は多くありません。次の項目から、税額と手数料を1つずつ切り分けながら数字で確認していきます。会社設立にかける費用を左右する分岐点は、実はそれほど多くなく、資本金額と機関設計という2つの入力さえ決まれば、税額と手数料の全体像は自分で計算できます。


登録免許税は0.7%が共通、下限額だけが違う
会社設立の登記の際に法務局へ納める国税が登録免許税です。中小企業庁の案内では、税率は資本金の額の1000分の7(0.7%)でどちらの会社でも共通ですが、その最低額(下限)は種類ごとに違うとされています(確認日2026年8月20日、根拠は登録免許税法別表第一)。株式会社なら下限は15万円、合同会社なら下限は6万円で、両者には9万円の開きがあります。
資本金300万円で発起人が申請する例で見てみます。具体的には、300万円に0.7%を掛けた21,000円はどちらの下限も下回るため、法務局への納付額を並べると株式会社15万円・合同会社6万円です。なお、資本金の額がおよそ2,142.9万円を超えると計算額が15万円の水準を上回りますが、その先も両者の開きはほぼ変わりません。この9万円の差額は、株式会社を選んだことに伴う固定費です。なお、資本金を高めに設定して信用力を高めたい人ほど、この下限差の存在を先に知っておく価値があります。


定款認証手数料|合同会社にはない出費
ここまで見た登録免許税、その下限差に加えて、株式会社にはもうひとつ発生する費用があります。公証役場で受ける認証の手数料です。日本公証人連合会の案内によれば、公証人の認証を必要とするのは株式会社の定款だけであり、その手数料は資本金額等に応じて1万5,000円・3万円・4万円・5万円の4段階に分かれています(確認日2026年8月20日)。この認証は合同会社という会社の種類では制度上不要なため、対応する出費は発生しません。
内訳は次のとおりです。まず、資本金額等が100万円未満で、発起人全員が自然人で3人以下・発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける・定款に取締役会を置く旨の記載が無い、という3つの条件をすべて満たせば1万5,000円(令和6年12月1日から適用)。条件を満たさない場合は3万円、100万円から300万円の間なら4万円、それ以上は5万円です(いずれも令和4年1月1日から適用、公証人手数料令第35条第1号にもとづく)。もっとも安い区分でも1万5,000円は必ずかかるため、先ほどの9万円にこの金額がまるごと上乗せされる計算です。
クラウド会社設立でこの手続きを進める場合、画面の流れの中に「定款の作成方法の選択」というステップがあり、電子定款と紙定款のどちらで進めるかをここで指定します。続く「定款の受け取り場所の選択」で受け取り先の公証役場を指定し、「定款作成費用のお支払い」でここまでの費用をまとめて支払う案内になります(マネーフォワード公式ヘルプ、確認日2026年8月20日)。一方で合同会社の設立フローにはこうした画面自体が現れません。


取締役会の有無が、認証料の段階を左右する
費用構造を語るうえで見落とされがちなのが、設置の有無という機関設計上の選択です。もっとも安い1万5,000円の区分を使うための条件のひとつに、前の項目で挙げた3条件のうちの1つが含まれています。設置する道を選んだ場合、その資本金区分にかかわらずこの区分は使えなくなり、3万円の区分に切り替わります。差額は1万5,000円あり、年商が小さい設立初期にとって軽視できない金額です。
この選択は意思決定の仕組みや役員数の要件にも関わる経営判断ですが、費用だけを見れば設置しないほうが認証料を低く抑えやすい構造になっています。ただし資本金額を先に固めても、設置の有無を後回しにしたまま見積もりを進めると、区分がずれて想定より負担が増える場合があるため、両方をセットで検討したほうが会社設立の総額を見誤りにくくなります。

クラウド会社設立の対応範囲は非設置の会社まで
設置の有無は認証料の段階だけでなく、マネーフォワード クラウド会社設立が使えるかどうかにも関わってきます。公式FAQによれば、対応するのは株式会社・合同会社の標準的な発起設立のみで、取締役会設置会社や現物出資を伴う設立、募集設立、海外居住者・未成年者・法人が役員や発起人になるケースなどは非対応です(マネーフォワード、2026年3月3日時点の公式FAQによる)。設置しない前提で自分で会社をそろえたい人にとっては、この範囲が対応の目安になります。
設置ありでの登記を検討している場合、書類作成の機能だけでは完結せず、マネーフォワードの登記代行プランを通じて司法書士に個別相談する案内になります。Step1「会社情報入力」画面で資本金額を入力すると税額と手数料の目安が自動で表示されますが、この画面自体が非設置を前提にした標準的な発起設立を想定して作られている点は、費用を見積もる前に押さえておいてください。資本金額を入力したあとは、マネーフォワードの案内が「出資金の入金」という工程に進み、発起人名義の口座へ資本金相当額を移した通帳のコピー等を保存するよう求められます(マネーフォワード公式ヘルプ、確認日2026年8月20日)。この一連の流れも、機関設計を先に固めているかどうかで迷いなく進められるかが変わってきます。

法定費用シミュレーション|資本金別に試算する
登録免許税と定款認証手数料を足すと、会社設立の法定費用全体のイメージがつかめます。たとえば資本金80万円かつ先の3条件を満たす例なら、登録免許税15万円(0.7%が基準、15万円に満たないため下限を適用)と手数料1万5,000円を合算して16万5,000円です。次に資本金300万円の例では、税額15万円(300万円×0.7%は21,000円で下限を下回るため適用)と手数料4万円(100万円以上300万円未満の段階)を合算して19万円になります。さらに資本金2,200万円の例では、税額15万4,000円(2,200万円×0.7%が下限を上回るため実額を適用)と手数料5万円(300万円以上の段階)を合算して20万4,000円です。
この試算には、電子定款か紙定款かで変わる印紙代(電子なら0円、紙なら4万円)や、マネーフォワードの有料プラン利用料は含めていません。印鑑を購入する場合の4,980円から33,340円という費用も別枠です。そのうえで資本金の額を1万円単位で動かしながら、どこで区分が切り替わるかを事前に確かめておくと、自分で会社設立を進めるときの総額の見通しが立てやすくなります。


総額で見る合同会社との差額はいくらか
ここまでの登録免許税(税率1000分の7)の下限差9万円と、前段の認証手数料の違いを踏まえて、別の種類で会社設立した場合の総額を確認します。マネーフォワードの「会社設立のご利用料金」という公式ページによれば、合同会社をクラウド会社設立で設立した場合の総額は6.5万円、紙の定款を使って自分で手続きを終えた場合は10万円が目安として示されています(確認日2026年8月21日)。株式会社側の総額17.2万円・20.7万円と比べると、その開きはおおむね先ほどの下限差と手数料の合計に相当します。
この最低額の境目も種類によって動きます。たとえば合同会社側の下限6万円は資本金がおよそ857万円を超えると0.7%の計算額のほうが高くなり、一方で株式会社側の下限15万円はおよそ2,142.9万円が境目です。この境目を踏まえて、資本金を大きく設定する予定があるなら、境目が動く点まで含めて資金計画に織り込んでください。
取締役会や監査役といった機関設計の自由度は合同会社側が高く、持分の譲渡性も株式とは異なりますが、対外的な信用力や資金調達のしやすさでは株式会社が選ばれる場面が多いといわれています。会社設立の手続きの詳細は、このサイトのカテゴリー「マネーフォワード 合同会社設立」で扱っているので、中身を知りたい場合はそちらを確認してください。

消費税の免税は会社形態を問わない
登録免許税の最低額や定款認証手数料の要否こそ株式会社と合同会社で異なりますが、消費税の扱いはそうではありません。原則として資本金1,000万円未満の会社は、設立1期目・2期目とも消費税の免税事業者になります。どちらの形態を選んでも、この免税ルールは共通です。条件により特定期間の課税売上高や給与等支払額が一定額を超えると、2期目の途中から課税事業者に切り替わる場合があります。インボイス登録をした場合は資本金額にかかわらず課税事業者になる点も共通です。
つまり株式会社にしたことによる負担増は登録免許税による下限差9万円と定款認証手数料の4段階分までにとどまり、消費税が免税か課税かの判定に会社形態は影響しません。会社の元手をいくらにするか決めるときは、この点を切り分けて考えると、法定費用まわりの試算と税務上の判断を混同せずに済みます。

まとめ|費用差を生む2つの要因を先に押さえる
株式会社の設立費用が高くなる要因は、突き詰めると2つです。ひとつが登録免許税で、下限額は15万円、税率1000分の7を掛けた額がこれを下回るケースが大半のため、6万円という合同会社側の下限より9万円高くなります。もうひとつは公証役場での認証に1万5,000円から5万円の手数料が必ず発生することです。これに加えて、取締役会の設置有無が、認証の段階とマネーフォワード クラウド会社設立が使えるかどうかの両方に関わってきます。
自分で会社設立を進める人がまず決めるべきなのは、資本金額と機関設計の2点です。この2つが決まれば、0.7%が基準で15万円に満たない場合は15万円となる登録免許税と、4段階に分かれる手数料の区分がどちらも定まり、法定費用の総額を自分で計算できます。設立後の税務・社会保険・決算まで見据えて準備したい人は、この費用構造を出発点に、次の資金計画を組み立ててみてください。




