この記事は、個人事業主として事業を続けている人が、株式会社への法人化を検討する際によく見かける5つの思い込みを整理するために書いています。会社設立を自分で進めようとすると、税率や責任、社会保険をめぐる誤解を目にする場面が少なくありません。ここでは国税庁・総務省・日本年金機構などの一次情報にもとづいて、それぞれの思い込みのどこが不正確なのかを一つずつ確認し、最後にマネーフォワード クラウド会社設立でどの画面から法人化の手続きを進めるかまで見ていきます。
この記事で扱う5つの思い込みと、個人事業主・株式会社の基本的な違い
個人事業主から株式会社への法人化を検討し始めると、インターネット上ではさまざまな解説記事に出会います。その中には、税率や責任の範囲について、正確とは言いきれない言い回しがそのまま広まっているケースも見られます。この記事では、そうした5つの思い込みを一つずつ取り上げ、国税庁・総務省・日本年金機構・デジタル庁(e-Gov法令検索)などの一次情報で確認できる正確な内容と突き合わせていきます。
個人事業主と株式会社の基本的な違いは、事業で得た利益にかかる税金の種類と、事業の債務に対する責任の範囲です。個人事業主の所得は所得税として、株式会社の所得は法人税として、それぞれ別の制度のもとで課税されます。株式会社を設立するには定款の作成・認証、出資金の払込み、法務局への登記申請という手順が必要ですが、この手順自体はマネーフォワード クラウド会社設立を使って自分で進められる範囲です。マネーフォワード クラウド会社設立を使って会社設立を自分で進めようとする人ほど、この5つの誤解の影響を受けやすいため、最初に整理しておく価値があります。
次のセクションから、それぞれの思い込みを順に見ていきます。最初に取り上げるのは、法人化と節税の関係についての思い込みです。

思い込み1|法人化は所得の大小にかかわらず必ず節税になる
1つ目の思い込みは、「法人化すれば所得の水準にかかわらず必ず節税になる」というものです。この考え方の背景には、所得税の税率が最大45%まで上がるのに対し、中小法人の法人税率は年800万円以下の部分が15%、800万円超の部分でも23.2%にとどまるという、税率表の見た目の差があります(国税庁公表の税率表による、2026年8月21日時点)。
しかし実際には、法人化すると税率とは別に新しい負担も発生します。法人には法人住民税の均等割という固定費があり、資本金等の額1,000万円以下・従業者数50人以下の場合でも、年額7万円(都道府県民税2万円・市町村民税5万円の標準税率による合計、総務省公表資料による)が、たとえ赤字であっても毎年発生します。さらに役員報酬に対しては社会保険料がかかり、その負担はおおむね報酬額の30%前後、会社と個人で折半する仕組みです。所得税だけを見て法人税率の低さと比較すると、これらの追加負担が計算から抜け落ちます。個人事業主にはこの所得税に加え、復興特別所得税や住民税・個人事業税も別途かかるため、単純に税率表の数字だけを比較しても正確な差は見えてきません。たとえば課税所得800万円の個人事業主が国税庁の速算表にあてはめると、税率33%・控除額153万6,000円が適用され、単純計算での所得税額はおよそ110万4,000円になります。この金額に復興特別所得税・住民税・個人事業税が加わる一方、株式会社であれば法人税に加えて均等割・社会保険料の負担が加わるため、どちらか一方の税率だけを見て節税額を語ることはできません。
節税になるかどうかは、所得税と法人税の税率差だけでなく、均等割・社会保険料・税理士報酬などの実務コストまで含めた個別の試算をしないと判断できません。所得が低い段階で法人化すると、かえって税と社会保険料の合計負担が増えるケースもあるため、必ず節税になるという言い切りは避けて、自分の数字で確かめる必要があります。会社設立をマネーフォワード クラウド会社設立の画面で自分で進める場合も、この節税に関する思い込みを解いておくことが最初の一歩になります。


思い込み2|株式会社にすれば代表者個人の責任は完全にゼロになる
2つ目の思い込みは、「株式会社を設立すれば、代表者個人の責任は完全に無くなる」というものです。この考え方の根拠としてよく挙げられるのが、会社法第104条の「株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする」という規定で、株式会社の株主が出資額を超えて会社の債務を弁済する責任を負わないという、株主有限責任の原則を定めた条文です(デジタル庁 e-Gov法令検索による、2026年8月21日確認)。
この規定はあくまで株主としての責任の範囲を定めたものであり、代表者個人のあらゆる責任がゼロになると保証しているわけではありません。実務上は、金融機関から融資を受ける際に代表者が個人として連帯保証を差し入れるケースが多く、この保証債務については株主有限責任の枠外にあるため、代表者個人が事実上重い負担を負います。また取締役には会社法上の任務懈怠責任が別途定められており、経営判断の誤りによって会社に損害を与えた場合、取締役個人が賠償責任を問われることもあります。
個人事業主が全財産をもって事業上の債務を弁済する無限責任の状態にあるのに対し、株式会社の株主としての責任は出資額に限定される、という違い自体は制度として存在します。ただし代表者が個人保証を提供している間は、この違いの効果が実務上限定的になる点まで含めて理解しておく部分です。自分で会社設立を進める人がマネーフォワード クラウド会社設立の画面を見るとき、有限責任という言葉だけで安心しないよう、この違いを正確に理解しておく価値があります。

思い込み3|法人税の軽減税率15%はいつまでも変わらない制度である
3つ目の思い込みは、「法人税の軽減税率15%はいつまでも変わらない制度である」というものです。国税庁の税率表(2026年8月21日時点、令和7年4月1日現在法令等による)には、中小法人の年800万円以下の所得部分に適用される税率として15%が示されていますが、根拠法令等の欄には法人税法だけでなく租税特別措置法の条項も記載されています。
中小企業庁の公表情報によれば、この15%は法人税法本則の19%に対する租税特別措置法上の時限的な軽減措置であり、2026年8月21日時点の適用期限は、令和9年3月31日(2027年3月31日)までに開始する事業年度分とされています。この軽減措置はこれまで数次にわたり2年単位で延長が繰り返されてきた経緯があり、令和7年度税制改正でも2年延長されました。延長が続いてきたからといって、次も同じように延長されると決めつけることはできません。
法人化のタイミングを試算する際に15%という税率をそのまま使う場合は、この税率が時限的な軽減措置であり、記事を読む時点・試算する時点で中小企業庁・国税庁の最新情報を確認し、期限が延長されているか、本則の19%に戻っているかを、その都度公式情報で確かめておく工程です。マネーフォワード クラウド会社設立で会社設立の手続きを自分で進める場合、この軽減税率の期限は「会社情報入力」画面のような入力欄には表示されないため、中小企業庁の公表情報を別途確認しておく必要がある情報です。

思い込み4|利益が出なければ税金の負担は個人事業主時代と同じ(ゼロ)である
4つ目に取り上げる思い込みが、「会社を作っても利益が出なければ、税金の負担は個人事業主のときと変わらず発生しない」というものです。個人事業主であれば、所得税・住民税・個人事業税のいずれも、その年の所得がゼロまたはマイナスであれば発生しません。この感覚をそのまま株式会社に当てはめてしまう例が見られます。
しかし株式会社には、赤字で法人税額がゼロであっても必ず発生する固定費があります。総務省の公表資料(2026年8月21日時点、法人住民税の均等割区分表による)によれば、資本金等の額1,000万円以下・従業者数50人以下という最も低い区分でも、都道府県民税2万円・市町村民税5万円を合わせた年額7万円の均等割が標準税率として発生します。均等割は事業所の存在そのものに課される負担であり、個人事業主には存在しません。
利益が出なければ税金の負担はゼロという個人事業主時代の感覚のまま法人化すると、赤字の年に想定外の年額7万円前後の支払いが生じます。法人化後の資金繰りを考える際は、この均等割を固定費の一つとしてあらかじめ資金計画に組み込んでおく工程が欠かせません。会社設立の手続きを自分でマネーフォワード クラウド会社設立を使って進める人ほど、均等割という固定費を見落としやすいため、この思い込みは特に押さえておきたい部分です。


思い込み5|「800万円を超えたら法人化が得」という言い切り
5つ目の思い込みは、「所得が800万円を超えたらどんな場合でも法人化がお得になる」という考え方です。この800万円という数字は、国税庁の所得税率表で税率が33%へ上がる900万円前後の水準と、法人税率表で中小法人の15%が適用される800万円以下という水準を単純に見比べたときに、税率の逆転が起こりやすい目安として、複数の会計サービス事業者・税理士事務所の解説で共通して紹介されている水準にすぎません。
国税庁・中小企業庁のいずれも、この金額を法人化の公式な基準として公表しているわけではありません。実際に有利・不利を判断するには、法人住民税の均等割(赤字でも年7万円前後)、役員報酬にかかる社会保険料の負担増加、税理士報酬などの実務コストまで含めた試算が必要であり、課税所得が800万円を超えていても、これらの負担を差し引くと法人化による有利さが小さくなる人もいます。
言い切りを避け、800万円という数字は法人化を検討し始める合図として使いつつ、実際の判断は自分の所得・扶養家族の有無・社会保険の状況を反映した個別の試算にもとづいて行う必要があります。判断に迷う場合は、税理士への相談を通じて、自分のケースでの損得を具体的な金額で確かめることが実務的な進め方です。自分で会社設立を進める場合も、マネーフォワード クラウド会社設立の画面を見ながら800万円という数字だけを鵜呑みにせず、自分の状況に置き換えて確認する視点が欠かせません。

法人化を決めたら、マネーフォワードのどの画面から株式会社の設立を進めるか
ここまでの5つの思い込みを踏まえたうえで、個人事業主から株式会社への法人化を決めた場合、書類作成の入口になるのがマネーフォワード クラウド会社設立です。公式の「会社設立の流れ」ページのSTEP1にあたる「会社情報入力」画面で、商号・事業目的・本店所在地・資本金の額を入力します。個人事業主として使っていた屋号をそのまま商号にする場合でも、既に登記されている類似商号がないかは、この画面での入力前に法務局側で確認しておく工程です。
発起人が誰かは「発起人情報」欄で入力します。個人事業主一人がそのまま株式会社の発起人・設立時取締役を兼ねる場合、この欄の入力自体は一人分で完結します。定款の作成方法は「定款の作成方法の選択」画面で選び、電子定款を選ぶ場合は「電子定款を選択」のトグルを切り替えます。電子定款にすると紙の定款にかかる収入印紙4万円が不要になる一方、電子署名を行う提携行政書士への事務手数料が別途かかる点は、マネーフォワードの料金案内のページで確認しておく必要があります。
資本金を払い込む「出資金の入金」画面、印刷した登記書類を持参または郵送する「法務局へ登記書類の提出」画面まで進めば、書類作成の部分は完了です。設立登記が完了したあとは「設立後の手続き」画面の案内に沿って法人設立届出書などの提出を進めますが、この記事で確認してきた均等割・社会保険料の負担・軽減税率の期限といった数字は、MFの入力画面の中では案内されません。マネーフォワードは書類を仕上げるための画面であり、法人化の損得を計算して示す機能ではないという前提を、思い込みの整理と合わせて押さえておく必要があります。


まとめ:5つの思い込みを外して、自分の数字で法人化のタイミングを判断する
ここまで、法人化と節税の関係、株主有限責任の範囲、15%軽減税率の期限、赤字時の均等割、800万円の目安という5つの誤解を、国税庁・総務省・日本年金機構・デジタル庁の一次情報にもとづいて確認してきました。いずれも「必ず」「ゼロになる」「ずっと」「同じ」「誰でも」といった言い切りの部分に不正確さがあり、実際には条件や試算次第で結論が変わる話でした。
会社設立の書類を仕上げる工程自体は、マネーフォワード クラウド会社設立の「会社情報入力」画面から「法務局へ登記書類の提出」画面まで、自分で進めやすい範囲です。一方、法人化のタイミングという判断は、所得税と法人税の税率差、均等割という固定費、社会保険料の負担増、軽減税率の適用期限まで踏まえて、自分の数字で試算しなければ出せない結論です。
5つの思い込みを外したうえで、それでも判断に迷う部分が残る場合は、税理士など専門家に相談し、自分の所得・家族構成・事業の状況を反映した個別の試算をもとに、法人化のタイミングを最終的に決めるという進め方が現実的です。会社設立を自分で進める場合でも、この試算の部分だけは、ツールの外側で自分が行う工程として残ります。個人事業主から法人化する際、会社設立の書類作成をマネーフォワード クラウド会社設立で自分で進めるとしても、5つの誤解を外した数字での判断だけは、自分自身で行う工程として残ります。



