この記事は、マネーフォワード クラウド会社設立を無料の範囲だけで使い、会社設立の書類作成を自分で完結させられるかどうかを知りたい人に向けて書いています。「無料でも会社設立ができる」と案内される場面が多い一方、どこまでが無料で、どこから先が持ち出しになるのかは、公式の説明を読むだけでは分かりにくいところがあります。ここでは、課金なしで進められる部分と、法律で決め方が定まっているために誰でも同じように負担する部分を、公式情報と一次情報にもとづいて整理します。
会社設立でのひな形づくり、マネーフォワードの利用そのものに料金はかからない
マネーフォワード クラウド会社設立は、アカウントを登録すればすぐに使い始められるクラウドサービスです。公式サイト「会社設立の流れ」によれば、会社設立に必要な書類を作る機能そのものに利用料金はかからず、契約を結んでいない状態でも、定款や登記申請書などのひな形作成を自分の手で仕上げられます(確認日2026年8月20日)。
ここでいう無料とは、会社設立という一連の手続きのうち書類まわりを整える部分の利用料がかからないという意味です。マネーフォワードが用意する契約プランは、この機能を追加で使えるようにするものではなく、決算や給与計算など、法人化した後の経理まで扱えるようにするものです。契約がなくても、書類作成の機能自体が制限されるわけではありません。有料の契約自体は、会社設立の手続きが完了した後からでも申し込めるため、書類作成の途中で無理に決める必要はありません。
Step1の「会社情報入力」画面では、会社名・本店所在地・代表者・事業目的・資本金額・決算時期という6項目を入力します。入力した内容はそのまま定款の条文に反映され、続くStep2の「印鑑購入」画面や「定款の作成方法の選択」画面も、契約の有無に関わらず開くことができます。事業目的の言葉選びや資本金額の決定はツールが代わりに決めてくれるものではなく、事業計画に応じて自分で判断する項目です。マネーフォワードの公式ヘルプ(biz.moneyforward.com/support/establish/ 配下)にも、この6項目の入力手順が画面ごとに載っています。
手続き全体はサイト上でStep1「書類作成」・Step2「登記」・Step3「設立後の手続き」という3段階に区分されています。無料でそのまま関わるのはStep1・Step2で、法務局への提出や公証役場での認証といった画面の外の作業は、契約を結んでいるかどうかに関係なく自分の足で対応します。次のセクションでは、この境目をもう少し具体的に見ていきます。

契約しなくても選べる範囲と、金額が動かない法定の費用
マネーフォワード クラウド会社設立の画面には、契約なしで選べる項目と、契約の内容を変えても金額が動かない項目が混在しています。たとえば会社名・本店所在地・事業目的・資本金額・決算時期といった会社情報の入力、定款条文への反映、登記申請書のひな形作成、印鑑の購入有無の選択は、いずれも自分で進められる部分です。発起人を1人にするか複数にするかも、契約の有無と関係なく自分で決める事項です。
一方、登録免許税や定款認証手数料のように、資本金額などの条件により税率や段階が決まる費用は、マネーフォワードを無料で使っても契約していても金額が変わりません。会社設立の手続きには必ずこの種の費用が発生し、無料の状態を選んだ人ほど、負担を見落とさないよう意識しておく必要があります。次のセクション以降で具体的な金額とともに見ていきます。契約を結ぶかどうかを分ける材料は、まさにこの境目にあります。
また、法務局への登記申請時に必要な設立時代表取締役の印鑑証明書は、マネーフォワードの画面の中では作れず、住民登録がある市区町村の窓口で取る書類です。契約していてもいなくても、この取得作業だけは画面の外に残ります。

電子定款は契約前でも選べるが、5,000円の実費は別にかかる
マネーフォワード クラウド会社設立の「定款の作成方法の選択」画面では、契約が無いままでも電子定款と紙定款のどちらを選ぶか決められます。電子定款を選ぶと、行政書士が定款を作成して電子署名を行い、紙定款で必要な収入印紙40,000円が不要になりますが、この作成にあたって通常5,000円(税込)の実費がかかります(マネーフォワード公式サイトより)。電子署名は行政書士が代行するため、自分でICカードリーダーや電子証明書を用意する必要はありません。
この5,000円は、ひとり法人・スモールビジネス・ビジネスという3つの契約のいずれかに加入している場合はマネーフォワードが肩代わりしてゼロ円になりますが、契約がない場合は「定款作成費用のお支払い」画面で振り込む金額です。すべてが無料だと思い込むと、この支払い画面で戸惑うことになります。次の「定款の受け取り場所の選択」画面で公証役場を指定すれば、あとは行政書士からの連絡を待つだけの状態に進みます。
「定款の受け取り」画面の案内では、行政書士から電子データをメールで受け取るまでの目安は5営業日ほどとされています(確認日2026年8月20日)。印鑑がほしい場合は、柘(つげ)4,980円・黒水牛10,500円・チタン33,340円のいずれかを同じ「印鑑購入」画面で選べ、金額は契約内容によって変わりません。


登録免許税と定款認証の費用は無料でも有料でも同額の法定費用
株式会社の設立登記にかかる登録免許税は、無料で進めても契約していても金額が変わらない費用です。中小企業庁によれば、登録免許税は資本金の額の1000分の7(0.7%)で計算し、この金額が15万円に満たないときは15万円になります。資本金額がおよそ2,142.9万円を超えると、0.7%で計算した金額が15万円を上回ります(中小企業庁「会社設立時の登録免許税の軽減について」より)。資本金100万円でも1,000万円でも下限の15万円のままですが、3,000万円なら21万円になる計算です。無料で使ったからといって、税額そのものが軽くなるわけではありません。登録免許税は、法務局への登記申請時に自分で収入印紙を購入するなどして納める仕組みで、マネーフォワードの画面を通じて納付する機能はありません。
公証役場に払う認証の費用も同様に、日本公証人連合会が定める金額であり、マネーフォワードを使うかどうかで変わりません。令和6年12月1日から適用されている制度では、資本金額などが100万円未満で発起人が3人以下などの要件を満たす場合は1万5,000円、同じ資本金水準でも要件を満たさない場合は3万円、100万円以上300万円未満は4万円、300万円以上は5万円という4段階に分かれています(日本公証人連合会「会社の定款手数料の改定」より、確認日2026年8月20日)。契約がない人も加入している人も、登録免許税とこの認証費用は必ず自分で負担します。


3つの有料契約が加わるのは「設立後」の経理機能
マネーフォワードが用意する有料の契約には、ひとり法人・スモールビジネス・ビジネスという3つの名称があります。年払いの税込表示価格はひとり法人32,736円、スモールビジネス59,136円、ビジネス85,536円です(マネーフォワード公式の料金比較ページより、確認日2026年8月20日)。案内では、いちばん小さい契約が新設法人1年目・小規模向け、真ん中が小規模企業向け、いちばん上が中小企業向けと位置づけられています。加入するタイミングは会社設立の直後である必要はなく、課金なしで書類作成を終えたあとに事業の状況を見て加入する会社もあります。
この3つで使えるようになるのは書類まわりの機能ではなく、電子署名にかかる実費が実質ゼロ円になる特典と、決算書類の作成・給与計算・請求書発行・経費精算といった、法人化した後にこなす経理のための機能です。書類だけを無料で作りたい人にとって、これらの契約は必須ではありません。契約するかどうかは、設立の先でどこまでの経理を任せたいかで決まります。期間限定のキャンペーンを満たすと負担額が下がる場合もありますが、恒久的な料金ではないため、契約前に必ず最新情報を確かめてください。
電子定款の5,000円を浮かせる目的だけで契約すると、年額32,736円〜85,536円という価格のほうが上回るため、費用面だけでは元が取れません。契約を検討する理由は実費の節約ではなく、決算や給与の計算まで会社設立の先でまとめて任せたいかどうかに置くのが、マネーフォワードの案内とも整合します。


契約せずに完結できる人の条件
ここまでの内容を踏まえると、無料の状態で完結しやすいのは、設立後すぐに決算や給与計算などをまとめて任せる予定がなく、電子定款にかかる5,000円や、条件により変わる登録免許税15万円前後、認証費用1万5,000円〜5万円といった費用を自分で用意できる人です。書類作成そのものは料金なしで終わるため、契約を結ばなくても会社設立の手続きを進められます。
紙定款を選べば行政書士への5,000円は不要になりますが、代わりに収入印紙40,000円が必要になるため、電子定款より重い負担になるのが一般的といえます。ここから先は契約を結ばず進めるか切り替えるかは、この差額と、設立の先で任せたい経理の範囲を天秤にかけて決める材料になります。迷った場合は、税理士など専門家に相談する方法もあります。
具体例として、発起人が1名で設立時発行株式の全部を引き受け、取締役会を置かない資本金100万円未満の会社なら、認証費用は1万5,000円です。この条件で電子定款を選ぶと、5,000円の実費と、資本金額がこの水準に満たない場合の登録免許税15万円をあわせた合計は16万5,000円が、契約なしで用意する費用の目安になります(内訳は前段の各セクション参照。印鑑代・口座開設費用などは含みません)。一方、発起人が2名で取締役会を設置する資本金300万円の会社では認証費用が4万円になり、電子定款の5,000円と登録免許税15万円を合わせた目安は19万5,000円まで上がります。


契約したほうがよい人の条件
反対に、設立してすぐ決算書類の作成や給与計算、請求書発行までまとめて管理したい人は、早めに契約を検討したほうが手続きがスムーズになります。加えて契約を結んでいれば電子定款の5,000円分をマネーフォワードが肩代わりするため、無料のまま進めた場合よりも書類作成段階での持ち出しが軽くなります。
ただし、これらの契約はあくまで年払いであり、税込年額32,736円〜85,536円という費用が発生します。会社設立の書類を作ることだけが目的であれば無料のままで十分な場合もあるため、法人化した後にどこまでの業務を任せたいかを事業計画と照らし合わせて判断してください。マネーフォワードの「料金プラン比較」ページには、3つの契約それぞれの機能一覧が掲載されています。加入は法的な義務ではなく任意であり、迷う場合は税理士に相談してから決める方法もあります。経理担当者を早期に採用する予定がある会社では、給与計算の機能を最初から使える契約のほうが、あとから移行する手間を減らせます。
3つのうちどれを選ぶかは、従業員数や取引量の見込みで変わります。この料金比較ページの確認日は2026年8月20日で、価格は年払い表示のため、月あたりの負担に換算して検討する場合は表記を確かめてください。

まとめ:無料の範囲を見極めて会社設立を進める
マネーフォワード クラウド会社設立は、会社情報の入力から定款・登記申請書のひな形作成まで、料金をかけずに自分で進められるクラウドサービスです。契約しなくても会社設立の書類作成は完結でき、契約すると使えるようになるのは電子定款にしたときの実費がゼロ円になる特典と、決算・給与計算といった設立後に使う経理機能です。
一方で電子定款にかかる5,000円(契約がない場合)に加えて登録免許税(資本金の額の0.7%、15万円が下限)、定款認証手数料(1万5,000円〜5万円の4段階)は、契約の有無を問わず負担する費用として残ります。ここから先は契約を結ぶかどうかで変わり、設立後にどこまでの経理業務を任せるかが判断の基準になります。まずは無料のアカウント登録から、会社設立の入力画面を開いてみてください。判断に迷う場面が出てきたら、税理士など専門家への相談も選択肢のひとつです。




