この記事は、マネーフォワード クラウド会社設立を使って株式会社の設立を自分で進めようとしていて電子定款という言葉の中身がよく分からないまま次の画面に進めずにいる人に向けて書いています。会社設立の費用を扱う他の記事で電子定款なら印紙代がかからないとだけ説明されていても、なぜそうなるのか、実際に作るのは誰なのか、費用は本当に0円になるのかまでは分からないという声をよく見かけます。ここでは電子定款が紙の書面と法律上どう扱いが違うのか、クラウド会社設立の利用時に作成の作業を担っているのが実際には誰なのか、費用の内訳と条件を、公式情報と一次情報の両方を突き合わせながら整理します。会社設立を自分で終わらせたい人ほど、この電子定款の分かれ目を早い段階で押さえておく価値があります。
電子定款とは何か?紙の定款との違いをマネーフォワードの画面で確認する
会社を設立する際に作る定款には、紙の定款と電子定款、この2つの形があります。電子の定款とは、紙に印刷せず電磁的記録(PDFファイルなど)として作成し、そこに作成者の電子署名を付けたものです。マネーフォワード クラウド会社設立には「定款の作成方法の選択」という画面(Step2)があり、このどちらで手続きを進めるかを選べるようになっています。この案内は2026年8月20日にマネーフォワードのヘルプページで内容を確認しました。紙の定款はその後、公証役場に認証してもらい、発起人や会社が原本を保管しますが電子の書面はPDFファイルのまま保管し、法務局への登記申請でもオンラインで提出できます。
会社設立の手続きを自分で進めようとして最初につまずきやすいのが、この「電子」という一語が指す範囲です。定款が電子になっても、書類の形式が切り替わるだけで、公証役場を通す手続きそのものがなくなるわけではありません。この点はのちの項目で扱います。まず印紙代がかからない仕組みから見ていきます。これが電子を選ぶ最大の理由になっています。
会社設立でかかる費用をひとつずつ切り分けると、法務局へ納める登記の費用のほか公証役場へ払う認証の費用、そして書面を紙にするか電子にするかという選び方にともなう費用の3つに分けられます。書面を紙にするか電子にするか、この選択だけは発起人が自分で判断できる余地が大きく、選び方しだいで数万円単位の差が出ます。会社設立にかかる総額を試算する人にとって、選択は最初に押さえておきたい分岐点です。


電子定款はなぜ収入印紙が不要なのか(印紙税法の非課税規定)
紙の定款に収入印紙4万円が必要になる根拠は、印紙税法にあります。印紙税法は、契約書や領収書のように特定の文書(課税文書)を作った際に印紙税を課す仕組みで、紙の定款は同法別表第一が定める第19号文書としてこの課税文書に含まれます。これに対して電子定款は電磁的記録であり、紙という書面そのものを作ったことにはならないため、印紙税が課されないという扱いが実務では定着しています。この説明はマネーフォワード公式のヘルプページを出典とし、2026年8月20日に内容を確かめました。より厳密な根拠が必要な場合は、国税庁の印紙税に関する相談窓口でも確認できます。
つまり費用が下がるのは値引きやキャンペーンではなく、書面の形式そのものが課税の対象から外れるという法律上の仕組みによるものです。紙であればかかっていた4万円分の収入印紙が、電子を選べば発生しません。この差の大きさが、会社設立の費用を自分で計算するときに電子という形式を選ぶ人が多い理由になっています。
この非課税の扱いは、電子で作成した定款という書式そのものへの取り扱いで、会社の種類(株式会社か合同会社か)によって変わるものではありません。会社設立の総額を試算する際は、この非課税の扱いだけで数万円の差になることを最初に押さえておいてください。次に、電子定款を実際に組み立てているのが誰なのかを見ていきます。


定款を作るのは誰か?マネーフォワードと提携行政書士の役割分担
電子で作った定款と聞くと、システム上で自動的に電子署名まで済んでしまうと思われがちですが、実際に組み立てて電子署名を行うのは、マネーフォワードと提携する行政書士です。発起人が会社情報入力の画面(Step1)などで入力した会社名・事業目的・本店所在地といった内容をもとに、その行政書士が書面を組み立て、電子署名を付けたうえで発起人に納品します。この役割分担は、公式ヘルプページで2026年8月20日に確かめた内容です。
この分担を知らずにいると、システムが自動で発行するものだと思い込んだまま先の工程に進んでしまうことがあります。実際には、入力を終えてから数営業日ほど、行政書士による組み立てと署名の工程を待つ必要があり、その間に資本金の払い込み先口座を用意するなど、他の準備を並行して進められます。自分でクラウド会社設立を使って会社設立を進める場合でも、ここから先は専門家である行政書士に委ねる前提で日程を組んでおくと、待ち時間で全体の計画が崩れることを避けやすくなります。この会社設立の手続きの中でも、電子定款の組み立てだけは行政書士という専門家に委ねる工程だと覚えておいてください。
この行政書士への支払いが、具体的にいくらになるのかを次に確認します。


5,000円の作成費用|有料プランなら免除される条件
電子の形式を選んだ場合、行政書士への支払いとして作成費用5,000円(税込)が発生します。定款作成費用のお支払い(Step2)の画面から、銀行振込でこの費用を支払う流れです。この金額は2026年8月20日にマネーフォワード公式のヘルプページで確かめました。一方、同社が提供する「ひとり法人プラン」「スモールビジネスプラン」「ビジネスプラン」のいずれかを契約している場合は、この5,000円分を株式会社マネーフォワードが肩代わりするため、実質ゼロ円になります。
この条件を見落とすと、費用がかからないつもりで進めていて、思いがけず5,000円を請求され戸惑うことになります。契約していないプランのままだと5,000円の実費がかかり、上記いずれかの有料プランであれば実質ゼロ円に切り替わる、という条件つきの話です。作成費用が5,000円を超える特殊なケースでは、超えた分を会社側が負担できないこともあります。ちなみに、ひとり法人プランは税込年額32,736円、スモールビジネスプランは同59,136円、ビジネスプランは同85,536円という価格帯なので、会社設立の直後にこの5,000円の免除だけを目当てに契約するかは、会計や給与などの他の機能とあわせて判断する必要があります。これらのプランには記帳や給与計算といった、設立後に日常的に使う機能もまとめて含まれているため、判断材料はこの費用免除だけにとどまりません。この費用を自分の手で確定させたい人ほど、費用計画を資本金額とあわせて事前に確認しておく価値があります。
この5,000円と、紙の場合にかかる4万円の収入印紙を、次の項目で並べて比較します。

紙定款との費用比較|印紙代4万円と電子で作る場合の費用差
ここまでの内容を金額で並べると、紙であれば収入印紙代として4万円がかかり、電子で無料のプランのままなら5,000円、有料のプランであれば実質0円になります。紙の書面を自分で用意して公証役場へ持ち込む場合、印紙代として4万円を負担するのに加え、その組み立ての手間もかかるため、費用の面では電子で進めるほうが有利になるのが一般的です。この差は、株式会社の会社設立にかかる法定費用全体から見ても大きな割合を占めます。設立にかかる総額のうち、定款まわりの費用は印紙代と作成費用をあわせても数万円規模におさまります。
もっとも、紙のほうが安くなる場面がまったく無いわけではありません。すでに電子署名に対応したソフトやICカードリーダーを持っていて、行政書士に頼らず自分で書面をデータ化できる場合は、5,000円という作成費用自体をかけずに済ませられる可能性があります。マネーフォワード クラウド会社設立が案内するルートは、あくまで提携行政書士への依頼が前提です。ゼロから電子署名の環境を整える方法とは別の話であることは、区別して理解しておく必要があります。


電子でも公証役場での手続きは省略できない
電子の形式を選んでも、公証役場を通す認証という手続き自体は省略できません。定款の受け取り場所の選択(Step2)で認証を受ける場所を指定し、定款の受け取り(Step2)の画面では、電子の場合は行政書士から通常5営業日ほどでメールにより書面を受け取ります。この流れは2026年8月20日にマネーフォワードのヘルプページで確かめました。「電子」という一語から手続き全体がオンラインだけで完結すると思われがちですが、公証人による認証という工程自体は、紙でも電子でも変わりません。数ある手続きのうち、会社設立において唯一「省略できない」と言えるのが、この公証人による認証です。
この認証には手数料もかかります。日本公証人連合会の案内によれば、定款認証手数料は資本金額や発起人の要件により1万5,000円から5万円までの4段階に分かれています(確認日2026年8月20日)。電子であることによって不要になるのは収入印紙4万円の部分だけで、この4段階の手数料は、紙でも電子でも同じ額がかかります。この手数料の支払いも、紙・電子いずれの場合も公証人とのやり取りが必要になり、画面操作だけで完結する工程ではありません。


マネーフォワードで進める手順|画面名と入力項目を順に見る
実際の流れを画面の順番で見ていきます。まず会社情報入力の画面(Step1)で会社名・本店所在地・代表者・事業目的・資本金額・決算時期を入力します。続くStep2では定款の作成方法の選択という画面で電子を選び、定款の受け取り場所の選択(Step2)で認証を受ける公証役場を指定し、定款作成費用のお支払いの画面で作成費用(5,000円か実質0円)と、希望すれば印鑑代をまとめて銀行振込で支払います。この手順は2026年8月20日時点でマネーフォワードの公式ヘルプページに掲載されている内容です。
支払いを終えると行政書士が組み立てと署名の工程を進め、定款の受け取り(Step2)に案内が届き、メールでPDFファイルを受け取ります。受け取った書面は、そのあとの出資金の入金という工程(Step2)や、法務局への登記申請に使う書類の一部として引き続き使います。この一連の流れのうち、自分で行うのは会社情報の入力と費用の支払いまでで、その組み立てと署名という作業は提携先の行政書士が担当します。この会社設立の手続きを自分で最後まで終えるには、ここに挙げた画面をひとつずつ順番に進めるだけで完了します。

まとめ|電子か紙か、選ぶときの判断基準
会社設立の費用を自分で見積もるうえで、電子か紙かという定款の形式は、大きな分かれ目になります。選ぶかどうかの判断基準を整理すると、まず有料のプラン(ひとり法人・スモールビジネス・ビジネスのいずれか)を契約する予定があるかどうかで、作成費用5,000円が実質0円になるかが変わります。次に、紙を選んだ場合の収入印紙代4万円と比べると、電子であれば何のプランも契約していなくても5,000円で済むため、費用だけで見れば電子の形式のほうが有利になるケースがほとんどです。ただし、電子を選んでも公証役場での認証手数料1万5,000円から5万円は変わらず必要になります。
この記事で確認したのは、電子定款が紙より収入印紙の分だけ安くなる法律上の仕組みと、マネーフォワード クラウド会社設立の利用時に実際に書面を組み立てているのが、提携する行政書士であるという役割分担です。株式会社の会社設立を自分の手で進める場合でも、書面そのものの作成と署名は専門家に任せる前提で費用と期間を見積もっておくと、想定外の請求や待ち時間を避けられます。この会社設立の準備を自分で進めるなら、定款の絶対的記載事項5項目そのものを詰めていく段階も、別のカテゴリーであわせて確認してください。




