この記事は、マネーフォワード クラウド会社設立を使って会社設立を自分で進めているときに、電子定款について思い違いをしたまま先の画面に進んでしまいそうな人に向けて書いています。「電子」と聞いてシステムがすべて自動でやってくれると思い込んだり、オンラインだけで手続きが終わると考えたり、費用はいつでも0円だと思い込んだまま進めると、あとになって想定外の請求や待ち時間に戸惑うことになります。ここでは電子定款についてよくある3つの思い違いを取り上げ、実際にはどこで自分の判断が必要になるのか、分岐点ごとに公式情報と一次情報を確認しながら整理します。会社設立の準備を自分で進める人ほど、思い込みに気づかないまま先へ進みやすいところです。
電子定款は「マネーフォワードが作ってくれる」という思い込みと実際
マネーフォワード クラウド会社設立で電子の形式を選ぶと、システムが自動的に電子署名まで済ませてくれると思い込んでしまう人が少なくありません。実際に電子定款を作成し、電子署名を行うのはマネーフォワードと提携する行政書士です。発起人が会社情報入力の画面(Step1)で入力した会社名・事業目的・本店所在地といった内容をもとに、行政書士が定款の中身を組み立て、署名を付けたうえで発起人に納品するという流れになっています。この役割分担は、2026年8月20日にマネーフォワードのヘルプページで確かめました。マネーフォワードの立場は、あくまで発起人と行政書士のあいだを取り持つ窓口であり、定款の中身そのものに責任を持って手を加える立場ではありません。
この思い込みのまま進めると、支払いを済ませればすぐに書面が届くと考えてしまい行政書士側の作成・署名にかかる数営業日を見込んでいなかった、という予定のずれが起きやすくなります。そこで会社設立をクラウド会社設立で自分で進める場合でも、この工程だけは専門家である行政書士に委ねる前提でスケジュールを組んでおくと、待ち時間による計画のずれを防げます。この準備を進める人ほど、役割の切り分けを最初に理解しておく価値があります。


「全部オンラインで完結する」と誤解されやすい理由
「電子」という言葉から、選べば会社設立の手続き全体がオンラインだけで終わると考えてしまう人もいます。実際には、電子の形式を選んでも公証役場を通す手続きそのものは省略できません。定款の受け取り場所の選択(Step2)で認証を受ける公証役場を指定し、定款の受け取り(Step2)の画面では、行政書士から通常5営業日ほどでメールにより書面を受け取ります。この流れは2026年8月20日にマネーフォワードのヘルプページで確かめました。
公証人による確認というプロセスそのものは、紙であっても電子であっても共通です。オンラインで完結すると誤解して公証役場とのやり取りを後回しにしていると、認証の日程調整が遅れ、登記申請の時期そのものが後ろにずれることがあります。「電子」が指しているのは、あくまで書面の形式が紙かデータかという部分だけで、会社設立の手続き全体がオンラインに置き換わるわけではありません。法務局への登記申請そのものはオンライン提出できますが、これも電子定款とは別の手続きであり、登記・供託オンライン申請システムという別のシステムを使う工程です。

5,000円という実費の分かれ目、無料だと誤解しがちな理由
電子定款は誰でも0円で作れると誤解されがちですが、実際には行政書士への支払いとして作成費用5,000円(税込)が発生します。定款作成費用のお支払い(Step2)の画面から銀行振込でこの費用を支払う流れです。マネーフォワード クラウドの「ひとり法人プラン」「スモールビジネスプラン」「ビジネスプラン」のいずれかを契約済みの場合に限り、この5,000円分を株式会社マネーフォワードが肩代わりし、実質ゼロ円になります。この条件は2026年8月20日にマネーフォワード公式のヘルプページで確かめました。
逆に、紙の書面のほうが安いと考えるのも誤解のひとつです。紙の書面には4万円分の収入印紙が必要になりますが、電子の書面は印紙税法上の課税文書にあたらないため、この負担がありません。無料のまま電子を選んでも5,000円で済み、紙の収入印紙代4万円と比べればどちらの費用感でも電子のほうが有利になるのが一般的です。会社設立の費用を自分で見積もる人ほど、この5,000円の扱いを最初に押さえておく価値があります。また会社設立の直後は運転資金の確保が優先になりやすいため、こうした数千円単位の差も積み重ねて把握しておくと資金計画が立てやすくなります。


分岐点1|情報の引き継ぎと電子署名は誰が担うか
分岐点のひとつ目は情報を行政書士へ引き継ぐところです。発起人がマネーフォワード クラウド会社設立の画面で入力した会社名・本店所在地・事業目的・資本金額といった項目は、そのまま行政書士側に引き継がれ、書面の条文として組み立てられます。行政書士の手で作成される書面には、会社法が定める絶対的記載事項がそのまま反映されるため、会社情報入力(Step1)の画面は提出前にもう一度見直しておく必要があります。
電子署名は行政書士が持つ電子証明書を使って行われるため、発起人が自分の印鑑証明書や電子証明書を用意する必要はありません。ここが、専門家に頼らず自分でデータを作る方法(後述)との大きな違いです。なお会社設立をマネーフォワードで自分で進める一般的なルートでは、発起人が用意するのは会社情報の入力内容と、支払いのための銀行口座だけで済みます。入力した内容に誤字や事実と異なる箇所があると行政書士が作成する書面にもそのまま引き継がれてしまうため、提出前の見直しは発起人自身の責任で行うことになります。

分岐点2|認証と受け取りは今までどおり必要
分岐点のふたつ目は、公証役場とのやり取りです。電子の書面であっても、日本公証人連合会の案内によれば、定款認証手数料は資本金額や発起人の要件により1万5,000円から5万円までの4段階に分かれており、この手続きを飛ばす方法はありません(確認日2026年8月20日)。電子で不要になるのは収入印紙4万円分の負担だけで、認証にかかるこの手数料は書面の形式を問わず同額です。
会社設立をクラウド会社設立で自分の手で進める場合、定款の受け取り場所の選択という画面で指定した先が、認証の手続き先になります。認証が終わると、電子の書面は行政書士からメールでPDFファイルとして届くため、紙の書面のように窓口まで原本を取りに行く必要はありません。この受け取り方の違いだけが、電子と紙で大きく変わる部分です。実際、会社設立の手続き全体から見ると、この受け取り方法の差は小さな違いですが、スケジュールを組むうえでは押さえておきたい分岐点です。受け取りまでの日数を短く見積もりすぎると、法務局への登記申請の日程まで後ろにずれてしまうことがあります。


分岐点3|契約プランの条件を満たしているか
分岐点のみっつ目は、有料プランの契約条件です。マネーフォワード クラウドが提供する「ひとり法人プラン」(税込年額32,736円)、「スモールビジネスプラン」(同59,136円)、「ビジネスプラン」(同85,536円)のいずれかであれば、電子定款作成費用5,000円がマネーフォワード負担になり実質0円になりますが、無料のまま進めている場合はこの5,000円をそのまま自分で負担することになります。
作成費用が5,000円を超える特殊なケースでは、超えた分を会社側が負担できないこともあります。上位のプランは記帳や給与計算といった設立後に使う機能もまとめて含んでいるため、契約するかどうかを費用免除だけで決めてしまうと、他の機能を見落とすことがあります。この分岐点は、資本金額を決める段階で契約するプランとあわせて検討する材料になります。なお会社設立の直後は出費が重なりやすいため、5,000円だけを理由にプランを決めるより、設立後の記帳や給与計算まで見据えて選ぶほうが無駄がありません。判断に迷う場合は、まず無料の範囲で入力を進め、有料プランが必要かどうかを支払い直前の画面で最終確認する進め方もあります。

紙の書面を選んだ場合との違いを整理する
紙の書面を選んだ場合と比べると、変わるのは主に3点です。1つ目は費用で、紙は収入印紙4万円が必要になるのに対し、電子は契約前でも5,000円、上位プランなら実質0円で済みます。2つ目は受け取り方法で、紙は窓口へ原本を取りに行く必要がありますが、電子であれば行政書士からメールでPDFファイルを受け取ります。3つ目は保管方法で、紙は原本を金庫などで保管しますが、電子はPDFファイルとしてデータ保存できます。
一方で変わらないのは、公証役場での手続きと、その認証手数料1万5,000円から5万円です。この2点は形式を問わず共通してかかる法定費用であり、電子を選んだからといって免除されるものではありません。費用面だけを見て何でも安くなると判断せず、この認証手数料は別枠で必ずかかるものとして、会社設立の資金計画に組み込んでおいてください。会社設立にかかる費用全体を見積もるときは、定款まわりの数千円単位の差より、この認証手数料の段階のほうが金額として大きくなります。登録免許税や定款認証手数料といった法定費用は、電子定款を選ぶかどうかとは関係なく、資本金額や発起人の要件によって決まる別枠の負担として把握しておく必要があります。


行政書士なしで手続きする場合の注意点
マネーフォワード クラウド会社設立が案内するルートは、提携する行政書士に依頼することが前提です。これとは別に、電子署名に対応したソフトやICカードリーダー、マイナンバーカードの電子証明書を自分で用意して、専門家に頼らず自分でデータを作成する方法もあります。この場合、5,000円という作成費用自体はかかりませんが、必要な機材やソフトの準備に別の手間と費用がかかるため、単純にどちらが得かは一概には言えません。
自分の手で作成する場合も、公証役場とのやり取りは変わらず必要です。行政書士に頼らないルートを選ぶ場合は、定款の受け取り場所の選択という画面で指定した公証役場に、自分で作成したデータを提出して認証を受けます。慣れていない場合は、まず提携行政書士のルートで一連の流れを把握してから、次回以降に自分で作成する方法を検討する進め方もあります。また会社設立を初めて自分で経験する人には、最初はこの一般的なルートのほうが負担が小さくなります。

まとめ|3つの分岐点をチェックリストで振り返る
ここまで確認した3つの分岐点を整理すると、まず書面を作成し署名を行うのは提携行政書士であってマネーフォワードのシステムではないこと、次に公証役場を通す手続きは電子でも紙でも欠かせないこと、そして作成費用5,000円が実質0円になるのは上位プランを契約している場合に限られることの3点です。
これらを資本金額や契約するプランとあわせて事前に確認しておけば、電子の形式を選んだあとに想定外の請求や待ち時間で戸惑う場面を減らせます。会社設立を自分の手で進める場合でも、書面そのものの作成・署名と公証役場での手続きは、行政書士や公証人という専門家を経る前提で計画を立ててください。設立後の税務・社会保険・決算といった、ツールだけでは完結しない工程まで見据えて準備したい人は、この分岐点の整理を出発点にしてください。


定款等記載例(Examples of Articles of Incorporation etc)(日本公証人連合会)を参照。


