この記事は、マネーフォワード クラウド会社設立を使って株式会社の設立を自分で進めようとしていて、合同会社との費用差がどれくらいあるのか判断がつかずにいる人に向けて書いています。会社設立の費用を自分で調べていると、株式会社と合同会社を並べた比較サイトの一覧表がいくつも見つかりますが、そこにある数字をそのまま受け止めると、実際の負担額を見誤ることがあります。この記事では、株式会社という会社形態を選んだ場合の費用にまつわる6つの思い込みを取り上げ、それぞれの実際の姿を、法務局・中小企業庁・日本公証人連合会の一次情報とマネーフォワードの公式ページから確認していきます。会社設立をこれから自分で進める人ほど、目を通しておく価値のある内容です。
費用を自分で見積もる前に整理しておきたいこと
比較記事に載っている総額の数字は、資本金額や機関設計といった条件がそろって初めて成り立つ一例にすぎません。条件がひとつ変われば、同じ株式会社の設立でも法定費用は変わります。ここを見誤ると、想定より多い金額を用意することになりかねません。
マネーフォワードを使ってこの手続きを自分で進めようとしている人ほど、一覧表にある総額をそのまま自分の場合に当てはめてしまいがちです。ここから、6つの誤解を1つずつ確認していきます。マネーフォワード クラウド会社設立で会社設立を自分で進める前に、まず費用差についての思い込みから正しておきましょう。最初に扱うのは、会社形態による費用差そのものについてです。


「差はごくわずか」という決めつけ
「合同会社のほうが少し安い程度だろう」という受け止め方は少なくありません。しかし法定費用だけを比べると、開きは資本金額しだいで9万円から10万円以上になります。中小企業庁の案内によれば、登録免許税は資本金の額の0.7%を基準に計算し、計算した額が一定の金額に満たないときは決められた最低額を納める仕組みで、この最低額は株式会社15万円・合同会社6万円で、9万円の差があります(確認日2026年8月20日、根拠は登録免許税法別表第一)。
ここに、日本公証人連合会が示す1万5,000円から5万円までの定款認証手数料が加わります。マネーフォワードの費用比較ページでも、この2つの費用は別々の行に分けて示されています。合同会社にはこの手続き自体がありません。資本金額等が100万円未満で一定の条件を満たす例なら、法定費用は登録免許税15万円と手数料1万5,000円を合わせて16万5,000円、同じ資本金額の合同会社なら登録免許税6万円のみです。差はおよそ10万5,000円で、「ごくわずか」とは言えない開きです。この開きを知らずに会社設立の資金計画を立てると、当初の想定より用意すべき現金が増えることになります。資本金をさらに引き上げていくと、双方とも登録免許税が0.7%の計算額そのものに切り替わる水準に近づき法定費用の差は定款認証手数料の分だけに縮まっていく点もあわせて押さえておいてください。


登録免許税の最低額を一定だと思い込む
登録免許税というひとつの税目である以上、最低額もひとつしかないと考えてしまう人がいます。しかし中小企業庁の案内では、税率は資本金の額の1000分の7(0.7%)でどの形態でも共通ですが、計算額を下回ったときに納める最低額は会社の種類ごとに定められています。株式会社は15万円・合同会社は6万円が最低額です。確認日は2026年8月20日です。
資本金500万円の例で見てみます。500万円に0.7%を掛けると35,000円になり、これはどちらの最低額も下回るため、実際の税額はさきほどと同じ15万円・6万円のままです。資本金の額がおよそ2,142.9万円を超えると計算額が15万円の水準を上回りますが、超えたあとも両者の差はほぼ変わりません。この最低額の違いを知らないまま資金計画を立てると、合同会社を基準にした見積もりを別の形態にそのまま流用してしまいかねません。この税額の納付は、登記申請書に収入印紙を貼る方法のほか、法務局の「登記・供託オンライン申請システム」を使ってオンラインで納める方法もあり、どちらの方法でも税額そのものは変わりません。マネーフォワード クラウド会社設立のStep1画面でも、この最低額の違いは資本金額を入力するまで表示されないため、事前に自分で把握しておく必要があります。


定款認証はどちらにも要ると考えてしまう
「定款を作る以上、認証も共通の手続きだろう」という思い込みも見かけます。日本公証人連合会の案内では、公証人による認証の手数料が定められているのは株式会社の定款であり、資本金額等に応じて1万5,000円・3万円・4万円・5万円の4段階に分かれます。確認日は2026年8月20日です。もう一方の会社形態の定款には、この手続き自体がありません。
クラウド会社設立の画面でも、この違いが表れます。株式会社で手続きを進めると「定款の作成方法の選択」に続いて「定款の受け取り場所の選択」という、認証を受ける公証役場を指定するステップが現れます(マネーフォワード公式ヘルプ、確認日2026年8月20日)。合同会社として同じ流れを進めると、この認証がらみの画面自体が出てきません。この後に続く「定款作成費用のお支払い」画面でも、提示される金額の内訳は会社形態によって変わります。認証という工程の有無こそ、会社形態を選んだことによる違いのひとつです。このツールを自分で使って手続きを終えるつもりなら、この画面の違いに気づかないまま定款作成を終えないよう注意してください。


機関設計と費用は無関係だと誤解する
機関設計の話は登記後の運営に関わるだけで、費用には影響しないと考える人もいます。しかし日本公証人連合会によれば、もっとも安い1万5,000円の区分を使うための条件のひとつに「定款に取締役会を置く旨の記載が無い」ことが含まれています(確認日2026年8月20日)。設置する道を選ぶと資本金額等が100万円未満という条件を満たしていても、この区分は使えず3万円の区分に切り替わります。
差額はわずか1万5,000円に見えるかもしれませんが、設立初期の資金繰りでは軽視できない金額です。しかも設置の有無は費用だけでなく、次に見るこのツールの対応範囲にも関わってきます。機関設計を先に固めずに見積もりだけを進めると、あとから区分がずれて想定より負担が増えることがあるため資本金額とあわせて先に検討しておくのが安全です。実務上は、設立後すぐに規模を拡大する計画がない限り、非設置を選んで1万5,000円の区分を確保する会社が多いといわれています。設置するかどうかは、自分で会社設立を進める人が最初に決めておきたい入力項目のひとつです。

クラウド会社設立を万能だと勘違いする
このツールを使えば、どんな設立でも書類作成が完結すると考えている人もいますが、これは正確ではありません。公式FAQによれば、対応するのは株式会社・合同会社の標準的な発起設立のみで、取締役会設置会社や現物出資を伴う設立、募集設立、海外居住者・未成年者・法人が役員や発起人になるケースなどは非対応です(マネーフォワード、2026年3月3日時点の公式FAQによる)。取締役会を置かない前提で自分で会社設立を進めたい人にとっては、この範囲が実質的な対応の目安になります。
取締役会を設置する登記を検討している場合、書類作成の機能だけでは完結せず、登記代行プランを通じて司法書士に個別相談する案内になります。海外居住者や未成年者が発起人になるケース、法人が代表取締役に就くケースも同様に非対応で、これらに当てはまる人はクラウド会社設立だけで手続きを完結できません。Step1「会社情報入力」画面で資本金額を入力すると登録免許税(0.7%が基準)・定款認証手数料の目安が自動で表示されますが、この画面自体が非設置の標準的な発起設立を想定して作られている点は、費用を見積もる前に押さえておく必要があります。続けて「出資金の入金」という工程に進み、発起人名義の口座へ資本金相当額を移した通帳のコピー等を保存するよう求められます(マネーフォワード公式ヘルプ、確認日2026年8月20日)。

資本金は多いほど損だと単純化してしまう
「資本金を大きくするほど登録免許税が跳ね上がって損をする」と単純に考える人もいますが、実際の増加幅は緩やかです。たとえば資本金80万円かつ先の条件を満たす例では、税額15万円(0.7%が基準、下限を適用)と手数料1万5,000円を合わせて16万5,000円です。次に資本金900万円の例では、税額15万円(900万円×0.7%は63,000円で下限を下回るため適用)と手数料5万円(900万円は300万円以上の区分にあたるため)を足すと20万円になります。さらに資本金2,500万円の例では、0.7%を掛けた17万5,000円が下限を上回るためこれが実額となり、手数料5万円を加えると22万5,000円です。
資本金を1,000万円未満に抑える判断は、法定費用よりも消費税の免税事業者になれるかどうかという観点で語られることが多く、条件により特定期間の課税売上高等が一定額を超えると2期目から課税事業者になる場合もあるため、税額の増加だけを理由に低く抑える必要はありません。ここで、決めるときは増分の金額と、対外的な信用力・当面の運転資金とをあわせて検討してください。会社設立にかかる総額を見積もるときは、この税額の増加分だけを見て資本金額を決めないようにしてください。手数料5万円の区分は資本金300万円以上でどの金額でも共通なので、300万円をわずかに超える設定にする実益はほとんどありません。


総額の低さだけで判断しない
ここまでの内容を踏まえると、「合同会社にすれば必ず安い」という判断も単純化しすぎです。マネーフォワードの「会社設立のご利用料金」という公式ページによれば、合同会社をクラウド会社設立で設立した場合の総額は6.5万円です。株式会社側の17.2万円より大幅に低いのは事実ですが、この形態は株式を発行できず、対外的な信用力や資金調達の面で株式会社が選ばれる場面も多いといわれています(確認日2026年8月21日)。
費用だけを基準に会社の種類を決めると、設立後に必要な資金調達や取引先からの見え方まで見落としてしまいます。合同会社は機関設計の自由度が高く、決算公告の義務がない点も株式会社との違いとしてよく挙げられますが、これらの手続きの詳細は、このサイトのカテゴリー「マネーフォワード 合同会社設立」で扱っているので、中身を知りたい場合はそちらを確認してください。マネーフォワードの費用比較ページ自体も、両方の会社形態の数字を同じ画面内に並べて示しています。会社設立の判断材料は費用だけではないことを、忘れずに検討に加えてください。この記事ではあくまで株式会社にしぼって、費用の姿を扱いました。

まとめ|思い込みを外して自分の場合を計算する
ここまでの内容に共通するのは、比較サイトの一覧表にある一つの数字を自分のケースにそのまま当てはめてしまう点です。費用差は資本金額によって最大10万5,000円ほどになり、登録免許税の最低額は、株式会社が15万円で合同会社が6万円と会社の種類ごとに異なり、定款認証も株式会社側だけに必要で、取締役会の設置有無が手数料の区分とクラウド会社設立の対応範囲の両方に関わってきます。
自分で会社設立を進める人がまず決めるべきなのは、資本金額と機関設計の2点です。この2つが決まれば、0.7%が基準で15万円に満たない場合は15万円となる登録免許税と、4段階に分かれる定款認証手数料の区分がどちらも定まり、法定費用の総額を自分で計算できます。このツールの画面を開く前に6つの誤解を頭の中から外しておくと、入力の途中で迷う場面が減ります。設立後の税務・社会保険・決算まで見据えて準備したい人は、6つを一つずつ確かめながら、次の資金計画を組み立ててみてください。



