この記事は、株式会社ではなく合同会社という形態を選んだうえで、マネーフォワード クラウド会社設立を使って自分で会社設立を進めようとしている方に向けて書いています。合同会社を設立する手続きは株式会社の手順と同じ画面を使いながらも、定款認証がまるごと無いなど、途中の工程がいくつも変わります。この記事では、株式会社の会社設立との違いを一つずつ確かめながら、マネーフォワードの画面に沿って合同会社を作る手順を整理します。すでに株式会社での会社設立の流れを調べたことがある方ほど、思い込みで進めると手が止まりやすいので、ここで一度立ち止まって確認してください。
合同会社を選んだ人が、会社設立の入り口で整理しておきたいこと
マネーフォワード クラウド会社設立は、株式会社・合同会社の2形態に対応しています。ただしFAQ「設立できる会社形態」によれば対応するのはこの2種類だけで、合資会社・合名会社・NPO法人・一般社団法人・取締役会設置会社・海外法人などは対応していません(2026年8月21日時点、公式FAQによる)。まず自分が作ろうとしている会社がこの2形態のどちらかに当てはまるかを確認してから読み進めてください。
合同会社を選んだ場合、画面の骨組みそのものは株式会社と共通ですが、途中の工程は同じではありません。もっとも大きな違いは、公証役場での定款認証という工程がまるごと存在しないことです。この違いを知らずに株式会社向けの手順書を参考にすると、不要な工程を探して手が止まる原因になります。
この記事では、合同会社を設立する手続きをマネーフォワードで自分で進める前提で、株式会社との違いを一つずつ確かめながら手順を追います。費用面の総額を先に把握したい方は、会社設立費用の総額を内訳から確認した記事もあわせて確認しておくと、この先の金額の話がつかみやすくなります。
合同会社という会社形態自体は、2006年5月に施行された会社法によって新設された比較的新しい形態です。すでに20年近い実績があり、小規模な事業や資金調達を株式に頼らない事業で選ばれています。歴史の長さだけを理由に不利な形態だと決めつける必要はありません。

Step1「会社名を入力する」項目で、まず会社形態を選ぶ
マネーフォワードの「会社名と所在地」(Step1)内にある「会社名を入力する」項目では、会社形態・法人形態・会社名を設定します。ここで「株式会社」と「合同会社」のどちらで進めるかを選ぶと、以降の画面表示や自動作成される書類(登記申請書・定款など)が、選んだ会社形態に応じて自動的に切り替わります(2026年8月21日時点、公式ヘルプによる)。
この画面ではあわせて本店所在地・資本金額・決算時期・代表社員の情報を入力します。株式会社では「発起人」「取締役」という語が使われますが、合同会社の入力項目やFAQでは「代表社員」という語が使われる点も、株式会社の手順書を読み替えながら進める際に押さえておきたい違いです。事業目的の欄も株式会社と共通の項目で、登記簿に記載される事業内容をここで文章として入力します。あとから事業目的を追加する場合は別途「変更登記」の手続きが必要になるため、想定する事業はできるだけこの時点で網羅しておくと二度手間になりません。
資本金額を自分で決める工程はどちらの形態でも共通で、会社法には資本金の下限を定める規定がありません。ただし合同会社は株式を発行できないため、この画面で入力した資本金額がそのまま出資者(社員)の持分割合の基準になる点は、株式会社にはない考え方です。資本金の払い込みは代表社員名義の口座に対して行い、通帳の写しが払込みを証する書面として登記の添付書類になります。次の見出しで、この先の定款まわりの工程がどう変わるかを見ていきます。


経営者保証(中小企業庁)を参照。
最大の違い:定款は作るが、認証という工程がまるごと無い
合同会社を設立する場合に株式会社ともっとも大きく違うのが、定款認証という工程がまるごと存在しない点です。日本公証人連合会の説明によれば、合同会社を含む持分会社の定款は公証人の認証を必要とせず、これは経営と責任が分離し不特定多数の者が関わる株式会社では設立後の紛争予防・不正防止の必要性が特に高い、という理由によるものです。マネーフォワードの設立費用比較表でも、合同会社の行には定款認証の項目自体がなく、株式会社側にだけこの行があります。
ここで注意したいのは、認証が不要になるだけで、定款の作成そのものは合同会社でも必須だという点です。マネーフォワードの画面でも「合同会社の設立で用意するものを教えて下さい」というFAQで電子定款保存用のCD-Rが案内されており、定款を作る工程はしっかり残ります。定款が丸ごと要らない、と誤解しないよう注意してください。
実務上は、マネーフォワードの「定款の作成方法の選択」(Step2)で電子定款・紙定款のどちらで進めるかを選ぶところまでは株式会社と同じ流れです。合同会社の場合はこの先に公証役場へ提出する工程が入らないため、定款ができ次第、資本金の払い込みへ進めます。この認証が無い分、手続き全体が一段階短くなることが、合同会社の会社設立を自分で進める際の体感の違いになります。参考までに株式会社側の定款認証手数料は、資本金額と発起人の要件により1万5,000円〜5万円の4段階に分かれますが、合同会社ではこの支払いそのものが発生しません。


合同会社の設立で用意するもの|印鑑証明書・CD-R・法人印鑑
公式FAQ「合同会社の設立で用意するものを教えて下さい」によれば、合同会社の場合に用意するのは代表社員全員分の印鑑証明書(発行から3か月以内)、電子定款保存用の新しいCD-R、法人印鑑(サービス内で購入可)などです(2026年8月21日時点、公式FAQによる)。印鑑証明書は市区町村の窓口で自分で取得する必要があり、この部分はマネーフォワードの画面の外の作業です。
株式会社の設立でも発起人全員の印鑑証明書が必要になる点は共通ですが、合同会社では「代表取締役」ではなく「代表社員」という語で案内される点に注意してください。同じ画面構成でも、案内文の用語が形態によって切り替わるため、株式会社向けの案内をそのまま読み替えずに使うと混乱のもとになります。
法人印鑑は、マネーフォワードのサービス内で購入することもできますし、手元にある実印を登録する形でも進められます。「印鑑購入」(Step2)の画面で希望の有無を選び、必要な書類が揃った時点で、次の登記申請の準備に進みます。合同会社の会社設立を自分で進める場合、この必要書類の一覧を先にそろえておくと、以降の入力が止まりにくくなります。受け取った印鑑証明書は登記申請書に添付するほか、会社設立後に法人口座を開設する際にも金融機関から提出を求められることがあります。代表社員が複数いる場合は、全員分の印鑑証明書と実印登録が必要になるため、書類の取得だけでも人数分の時間がかかる点を見込んでおいてください。


電子申請の条件は「代表社員1名」「CDドライブ不要」に読み替える
マネーフォワードには電子申請(オンラインでの登記申請)を利用できる条件がありますが、株式会社向けの条件文をそのまま合同会社に当てはめると誤読します。株式会社では「役員・株主が代表取締役1名のみ」であることが条件の一つですが、合同会社の場合はこれが「代表社員1名のみ」に読み替えられます。この読み替えはマネーフォワード公式ヘルプに2026年8月21日時点で記載があります。
もう一つの違いが、必要な機器です。株式会社の電子申請ではマイナンバーカードとCDドライブの所持が条件に含まれますが、合同会社の場合はCDドライブの所持が不要と明記されています。この違いを知らずに株式会社向けの案内だけを見ていると、不要な準備に時間を使ってしまうことがあります。
電子申請の条件を満たさない場合でも会社設立自体を諦める必要はなく、登記申請書一式を印刷して法務局の窓口へ持参する方法も選べます。「法務局へ登記書類の提出」(Step2)の画面では、この持参用の書類一式もあわせてダウンロードできます。自分の環境がオンライン申請の条件に当てはまるかどうかは、入力を進める前に確認しておく価値があります。代表社員が2名以上いる場合はこの電子申請の条件から外れるため、法務局への持参または郵送による申請に切り替える判断が必要になります。「法務局での書類の受け取り」(Step2)の画面では、登記完了予定日以降に登記事項証明書を受け取り、設立日をマネーフォワード上に登録する工程まで案内されます。

登録免許税は6万円が下限|株式会社の15万円との違い
登録免許税は、法務局への登記申請時にどちらの会社設立でも発生する国税です。合同会社の場合は資本金の額の1000分の7で計算し、6万円に満たない場合は6万円が下限になります。これに対して株式会社は同じ0.7%の税率で計算しつつ、15万円に満たない場合は15万円が下限という違いがあります(2026年8月21日時点、法務局の案内による)。この下限額の差は、合同会社の会社設立費用が抑えられる最大の要因です。
資本金額が857万円を超えると、合同会社でも計算した額そのものが6万円の下限を上回り、登録免許税は資本金の額の1000分の7で計算した金額になります。定款認証手数料が発生しない分とあわせて、合同会社は法定費用の総額を低く抑えやすい形態だと言えます。たとえば資本金500万円の場合、1000分の7で計算すると3万5,000円となり6万円の下限を下回るため、実際に納める登録免許税は下限額の6万円になります。
マネーフォワードの画面はこの1000分の7という計算式にもとづいて登録免許税を試算しますが、実際の納付は収入印紙または現金で法務局の窓口へ行う工程で、画面の中だけでは完結しません。「出資金の入金」(Step2)で資本金の払い込みを終えたあと、登記書類一式を持参または郵送で提出し、登録免許税を納めます。


損益分配の自由度と、定款自治という考え方
合同会社は、定款で利益(損益)の分配割合を出資比率と異なる形に定めることができます。会社法第622条は、定款に定めがなければ各社員の出資額に応じて分配する、というデフォルトルールを置いていますが、定款に別段の定めを置けばこの割合を変更できます。これは、出資比率=議決権・配当割合が原則の株式会社と比べて自由度が高い部分です。
ここで誤解しやすいのが、この自由度を「出資や登記の手続きなしに、社員間で自由に分配を決め直せる」という意味だと受け取ってしまうことです。出資比率と異なる分配割合にする場合は、その旨を定款に明記することが法的効力を持つための条件になります。口頭の合意だけでは、この分配割合の変更に法的な効力はありません。
会社法第575条以下は持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)の設立・定款・業務執行の規律を定めており、合同会社では出資者(社員)が原則としてそれぞれ業務執行権を持ちます。これは、所有と経営が分離した株式会社の構造とは異なる点です。この分配割合や業務執行の役割分担を、複数人で会社設立する場合は事前に定款の記載事項として詰めておく必要があります。業務執行権を持たない社員を定款で定めることもでき、この場合は出資だけを行う社員として会社に関与する形になります。

まとめ:合同会社の会社設立を、自分でどこまで進められるか
ここまで見てきたように、合同会社の会社設立をマネーフォワードで自分で進める場合、定款は作るが認証という工程が丸ごと無いこと、電子申請の条件が代表社員1名・CDドライブ不要に読み替えられること、そして登録免許税は1000分の7で計算し、下限が株式会社の15万円ではなく6万円であることが、株式会社との主な違いです。マネーフォワード クラウド会社設立の画面自体は共通ですが、案内される用語や必要書類は合同会社向けに切り替わります。
合同会社には株式という概念がなく株式による資金調達や上場ができないため、銀行融資や取引先との関係で株式会社より見劣りするという指摘がある一方、信用力の評価は業種・取引相手・実績によっても異なり、一律に劣ると断定できるものではありません。定款認証が不要な分、費用と時間を抑えて会社設立を進められる点は、合同会社を選ぶ実質的なメリットです。マネーフォワード クラウド会社設立を利用した場合の合同会社の設立費用合計は目安6.5万円で、内訳は定款作成手数料・印紙代0.5万円と、0.7%の税率で計算した下限額である登録免許税6万円です(2026年8月21日時点、公式ページの内訳表示による)。まずはこの記事で挙げた違いが自分のケースに当てはまるかを確認し、合同会社としての会社設立を一歩ずつ自分で進めてみてください。

経営者保証(中小企業庁)を参照。


