この記事は、株式会社を作るにはまず何から手をつければよいか分からず、マネーフォワード クラウド会社設立の入力画面をまだ開いていない人に向けて書いています。会社設立を自分で進めるには、法務局への登記そのものより先に、自分で決めておかなければならない項目がいくつかあります。商号・事業目的・本店所在地・発起人と出資額の配分は、いずれも一度定款に記載すると、あとから直すのに手間と費用がかかる項目です。会社設立の入力画面に何を書けばよいかで迷う前に、この記事では株式会社を作るには何を先に決めるべきかを5つの意思決定に分けて、根拠となる条文や公式情報とあわせて整理します。
株式会社を作るには、登記より先に「決めること」を済ませる
株式会社を作るには、法務局に書類を提出する前の段階で、いくつかの事柄を自分で決めておかなければなりません。会社法第27条は、株式会社の定款に必ず記載しなければならない事項として、目的、商号、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額又はその最低額、発起人の氏名又は名称及び住所という5点を挙げています。このうち目的・商号・本店の所在地・出資される財産の額・発起人の氏名住所は、いずれか一つでも欠けると定款そのものが無効になる絶対的記載事項です。
マネーフォワード クラウド会社設立の「会社情報入力」画面を開くと、これらの項目を含む入力欄が並びますが、画面を埋めることと、内容を自分の頭で決めることは別の作業です。事業目的の書き方や本店所在地の選び方には、法令上の制約と実務上の判断の両方が関わるため、入力の前にいったん整理しておくと、あとで定款を作り直す手間を避けられます。
この記事では、商号・事業目的・本店所在地・発起人と出資額の配分という4つの決定事項を順番に取り上げ、最後に決算月という5つ目の項目にも簡単に触れます。この5つを固めてから画面に向かうほうが、会社設立の入力作業そのものを自分の手で短時間に終えられます。逆にこの5つを決めないまま画面を開くと、商号の候補を考えたり事業目的の文言を検索したりするたびに入力が中断し、会社設立の作業全体が延びる原因になります。会社設立を急ぐ人ほど、この準備段階を軽視しないほうが結果的に早く進みます。次の見出しから、商号の決め方を確認していきます。


商号(会社名)の決め方|使える文字と同一商号の規制
商号は会社法第27条2号にある絶対的記載事項の一つで、事実上どの言葉でも自由に選べるわけではありません。商業登記規則第50条と関連する法務省告示により、商号に使える文字は漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字(大文字・小文字)・アラビア数字、そして符号としてアンパサンド(&)・アポストロフィー(’)・コンマ(,)・ハイフン(-)・ピリオド(.)・中点(・)に限られています。符号は語句を区切る目的でのみ使用でき、商号の先頭や末尾には置けません。ただし省略を表すピリオドを末尾に置くことは認められており、ローマ字で複数の単語を表す場合に限り単語の間を空白で区切ることもできます。
もう一つ確認しておきたいのが、同一の商号を使えるかどうかです。平成18年(2006年)5月1日に施行された会社法により、同一市区町村内での類似商号を制限する規制は廃止されました。現在は、同一の本店所在地に、既に登記されている会社と完全に同一の商号を登記することだけが禁止されています。全国のどこかに同じ社名の会社が存在していても、本店所在地が異なれば登記自体は可能です。
とはいえ、既存の有名企業と紛らわしい商号を使うと、不正競争防止法上のトラブルに発展する可能性は別途残ります。法務省はオンライン登記情報検索サービスによる商号調査を案内しており、候補の商号と本店所在地の組み合わせを事前に確認できます。マネーフォワードの「会社名を入力してください」画面では、商号と「会社名(カナ)」を入力する欄が並んでおり、この段階で正式な表記を決めておく必要があります。商号は会社設立の手続き全体でも最初に固める項目であり、あとから変更すると定款の再作成や公証役場での再認証が必要になるため、自分で会社設立を進める人ほど、この段階で複数の候補を用意しておくと後の工程がスムーズです。


事業目的の決め方|登記簿に書ける表現と許認可事業の目的欄
事業目的も会社法第27条1号の絶対的記載事項で、この会社が何を営むのかを登記簿に書き出す項目です。マネーフォワード クラウド会社設立の公式ガイドは、事業目的の数について厳密な上限はないとしながらも、一般的には10個から20個程度に収めるのが適切だとしています。数が50個を超えるような目的欄は、取引先や金融機関から見て事業の実態がつかみにくくなり、融資の判断にも影響しうると案内されています。
もう一つ実務上重要なのが、許認可を伴う事業を予定している場合の書き方です。マネーフォワードの入力画面は目的欄の文言を自動で審査してくれるわけではありません。建設業許可や労働者派遣事業のように、事業を始める前に行政庁の許可・届出が必要な業種では、定款の目的欄に記載する文言が、その許認可を所管する法令上の事業名と一致している必要があります。マネーフォワードの公式ガイドも、こうした業種では事前に所管の行政窓口へ確認することを勧めています。目的欄の文言が不正確だと、許認可の申請段階でつまずき、事業開始そのものが遅れる原因になります。
事業目的を自分で決めて会社設立を進める場合、その最後に「前各号に附帯関連する一切の事業」という一文を添えるのが定型的な書き方です。この一文があることで、各号に直接は書かれていない付随的な事業についても、あらためて定款を変更せずに扱える範囲が広がります。マネーフォワードの「事業目的を入力してください」画面には「事業目的候補一覧」という機能があり、業種ごとの記載例から候補を選んで組み立てられるようになっています。


本店所在地の決め方|バーチャルオフィス・自宅・レンタルオフィスの違い
本店の所在地も会社法第27条3号の絶対的記載事項で、番地まで確定させて定款と登記簿の両方に記載します。自宅を本店にすれば費用はかからず、賃貸オフィスを借りれば来客対応や許認可の要件を満たしやすくなる一方、月々の家賃が発生します。近年は住所だけを借りるバーチャルオフィスを本店所在地にする会社も増えており、事業者によって月額数千円から1万円台程度までの料金体系が一般的です。レンタルオフィスは個室や共用デスクを使える分、バーチャルオフィスより月額費用が高くなる傾向があり、来客対応や郵便物の受け取り方法もサービスごとに異なります。
本店所在地の選び方が影響するのは、登記の可否だけではありません。みずほ銀行が公開している解説によれば、バーチャルオフィスを本店所在地にした法人でも法人口座の開設自体は可能ですが、本店所在地と実際の営業場所が異なることが多いため、銀行側が事業の実態をより慎重に確認する傾向があるとされています。契約書や発注書、納税証明書といった事業実態を示す書類の提出を求められる場合もあります。
建設業許可や宅地建物取引業のように、事務所の実体(専有スペースや従業員の常駐など)が要件に含まれる許認可業種を予定している場合は、バーチャルオフィスでは要件を満たせないことがあります。自分で本店所在地を決める人は、コストだけで判断するのではなく、法人口座開設と将来の許認可の見通しまで含めて比較したうえで、マネーフォワードの「会社の住所を入力してください」画面に郵便番号から番地までを入力する流れになります。


発起人と出資額の配分の決め方|持株比率は議決権に直結する
発起人が1人であれば、出資額の配分に迷う場面はほとんどありません。しかし複数人でこの会社を作るには、誰がいくら出資し、その結果として持株比率がどうなるかを、設立の段階で決めておくことになります。会社法第25条2項は、各発起人が設立時発行株式を1株以上引き受けることを定め、会社法第32条は、発起人が割当てを受ける株式数や払い込む金銭の額を、定款に定めがない限り発起人全員の同意で決めると規定しています。つまり出資額の配分は、発起人どうしの話し合いと合意によって決まる項目です。
持株比率をどう配分するかが重要なのは、それがそのまま株主総会での議決権比率になるためです。会社法第309条1項は、定款の変更などを決める通常の議決(普通決議)を、出席株主の議決権の過半数で行うと定め、同条2項は、定款変更や事業譲渡などの重要事項を決める特別決議を、出席株主の議決権の3分の2以上で行うと定めています。1人の発起人が発行済株式の3分の2以上を保有すれば、特別決議も単独で可決できる計算になり、逆に2人で50対50に配分すると、意見が割れたときに決議そのものが成立しない場面が生じかねません。たとえば発起人2名で出資額を70対30に分ける場合、多数側が単独で普通決議を通せる一方、特別決議には3分の2という壁が残るため、少数側の同意が必要になる場面も出てきます。出資額の配分は、複数の発起人が自分たちで会社設立を進める際に最ももめやすい論点のひとつです。
共同創業者どうしで会社を設立するには、労力や資金の負担割合を踏まえて持株比率を先に合意し、代表者に一定の主導権を残すのか、対等に近い比率にするのかを話し合っておく必要があります。発起人の人数条件や取締役との兼任については別の記事で条件面を整理しているため、ここでは出資額の配分という意思決定に絞って確認しました。マネーフォワードの「役員・出資者の情報を入力してください」画面と、出資金・株式数を入力する画面とで、発起人ごとの出資額と株式数を確定させます。この持株比率を会社設立の入力前に発起人どうしで合意しておくと、画面上の株式数の入力で迷いません。


決算月(事業年度)も登記前に決める項目のひとつ
ここまでの4つに加えて、決算月(事業年度の区切り)も定款に記載する項目のひとつです。法人税法第13条は事業年度について特定の月を指定しておらず、1年の範囲内であれば会社の都合で自由に選べます。決算月の選び方は、資本金1,000万円未満などの条件により決まる消費税の免税期間の長さにも関わるため、単独で深く扱うだけの論点を持っています。この記事では商号・事業目的・本店所在地・発起人と出資額の配分という4つの意思決定を中心に扱い、決算月の決め方を掘り下げた記事で、第1期の期間の計算や免税判定の条件を詳しく整理しています。
5つの項目をすべて一度に自分で決めようとすると、会社設立の準備段階で情報量に押しつぶされがちです。商号・本店所在地・事業目的・発起人と出資額の配分の4つを固め、決算月だけは繁忙期や資金繰りを踏まえて別途候補を絞り込む、という進め方でも、マネーフォワードの「会社情報入力」画面への入力自体は問題なく進められます。

5つの決定を、マネーフォワードの「会社情報入力」画面にどう入力するか
マネーフォワード クラウド会社設立の使い方ガイドによれば、会社設立に必要な情報の入力は、会社名・住所・連絡先・事業目的・役員と出資者の情報・出資金と株式の内容・決算月と事業年度・公告の方法という項目に分かれた画面を順に進める形で行われます。ここまで整理してきた5つの意思決定は、このうち会社名・事業目的・住所・役員と出資者の情報・出資金と株式の内容・決算月と事業年度という各画面にそのまま対応しています。
先に決めることを済ませておけば、この一連の画面は入力作業そのものとして短時間で終えられます。逆に、画面を開きながら商号や事業目的をその場で考え始めると、候補を練り直すたびに入力を中断することになり、会社設立の作業全体が長引きます。株式会社を自分で作るには、この入力画面に向かう前の準備段階に時間をかけるほうが、結果的に手続き全体を早く進められます。
入力を終えたあとは、電子定款か紙の定款かを選ぶ画面、公証役場での定款認証、資本金の払い込み、法務局への登記申請へと進みます。定款や登記申請書など会社設立の必要書類を一覧で確認した記事もあわせて見ておくと、書類の準備状況を横断的にチェックできます。この記事で扱った5つの決定は、その後に続くすべての工程の土台になる部分であり、途中で商号や事業目的を変更すると、定款の作り直しから認証のやり直しまで手戻りが発生します。


まとめ|株式会社を作るには、決めることを先に済ませておく
株式会社を作るには、商号・事業目的・本店所在地・出資額の配分(発起人間の持株比率)・決算月という5つの項目を、会社法第27条の絶対的記載事項を軸に、自分の判断で内容を確定させる必要があります。商号は商業登記規則第50条が定める文字と符号の範囲で選び、同一本店所在地での完全同一商号だけが禁止されます。事業目的は10〜20個程度を目安に将来の事業も含めて書き出し、許認可を伴う事業は所管官庁の文言に合わせます。本店所在地はコストだけでなく法人口座開設や許認可の要件まで見て選び、発起人が複数いる場合は出資額の配分がそのまま議決権比率になる点を踏まえて話し合います。
会社設立を自分で進める場合、これらの決定は「会社情報入力」画面に入力する内容と一対一で対応しています。画面を開く前にこの記事の5つの見出しを見返しながら自分の答えを紙に書き出しておけば、入力そのものは迷わず進められます。商号は使える文字の範囲と同一本店所在地での重複だけを確認し、事業目的は10〜20個程度を目安に将来の展開まで見据え、本店所在地は費用と法人口座・許認可への影響を比べ、出資額の配分は議決権比率として長く効いてくることを踏まえて決めてください。マネーフォワード クラウド会社設立が公開しているサポートページでは、各画面の入力手順がガイド形式で示されているため、迷った際に参照すると具体的な操作を確認できます。判断に迷う項目が残る場合は、司法書士や税理士に個別の事情を相談したうえで、最終的な内容を自分の手で確定させてください。

会社法(法令本文)(デジタル庁)を参照。


