この記事は、マネーフォワード クラウド会社設立を使って株式会社の設立を自分で進めているものの、Step2の印鑑購入画面で手が止まってしまった人に向けて書いています。会社の印鑑には実印・銀行印・角印という呼び方があり、案内を読んだだけでは、どれを自分で用意すればよいのか、その場で購入したほうがよいのかが分かりにくい部分です。この記事では、選べる印材の種類・価格と、印鑑店を自分で選ぶ場合との違いを、公式ヘルプで確認できた画面名・金額とともに整理します。
マネーフォワードで会社設立を進める人が印鑑で立ち止まる理由
マネーフォワード クラウド会社設立のStep1「会社情報入力」画面で会社名・本店所在地・代表者・事業目的・資本金額・決算時期を入力し終えると、Step2に進みます。Step2は「印鑑購入」「定款の作成方法の選択」「定款の受け取り場所の選択」「定款作成費用のお支払い」という順で並んでおり、最初に現れるのが印鑑購入の画面です。ここで印鑑を自分で用意するか、この場で買うかを選ぶ案内が表示されます(公式ヘルプ「印鑑の購入」、確認日2026年8月20日)。同じStep2の中でも、印鑑購入だけは代金の支払いが発生する数少ない工程で、ほかの画面は入力と選択が中心です。
会社設立の手続きでは、定款や登記申請書のような書類とは別に、押印に使う印鑑そのものを自分で準備しなければなりません。書類のひな形は自動でできあがっても、印鑑という「物」を用意する部分だけは外の作業として残ります。実印・銀行印・角印という3種類の呼び方の違い、この画面で選べる印材の価格、そして印鑑店に自分で発注する場合との違いを、Step2の流れに沿って順番に見ていきます。
印鑑購入の画面のすぐ後には、電子定款か紙定款かを選ぶ画面が続きます。印鑑代を注文した場合、支払いは定款作成費用の振込にまとめられます。つまり印鑑をどうするか最初に決めておけば、その先の支払い画面で迷う場面が減ります。


印鑑「3種類」の役割の違い
会社設立の場面で使う印鑑には、大きく分けて3つの役割があります。ひとつめは実印で、法務局へ提出して登記申請書などの重要書類に押します。ふたつめは銀行印で、法人名義の口座を開くときに金融機関へ届け出ます。みっつめは角印で、請求書や領収書といった日常のやり取りに使う認印です。法務局のページによれば、会社・法人代表者が取得できる印鑑証明は、届け出た実印をもとに発行されます(確認日2026年8月20日)。
この3つを必ず3本そろえなければならない決まりがあるわけではありません。1本を実印と銀行印の両方に兼ねる会社もあります。ただし実印を日常の押印と兼ねると、持ち歩く回数が増えるぶん、紛失や摩耗のリスクも上がります。このあと紹介する画面で買う場合も、印鑑店へ自分で発注する場合も、まずどれを何本用意するかを自社の運用に合わせて決めておくと、次の工程で迷いません。
角印は届出が法律で求められている印鑑ではなく、社内の慣習として使われる認印です。実印・銀行印とは異なり法務局や金融機関への提出は不要ですが、請求書に角印がないと取引先から見た印象が下がると考える会社もあり、実務上は多くの会社が用意しています。同じ印材でも実印用と銀行印用でサイズを変えて注文する使い方もあります。


マネーフォワードの印鑑購入画面で選べる3つの印材と価格
この画面では印鑑を自分で用意するか、この場で買うかを選べます。用意されている印材は柘(つげ)・黒水牛・チタンの3種類です。価格は柘が4,980円、黒水牛が10,500円、チタンが33,340円で、いずれも税・送料込みの金額です(サービス公式の料金ページ、確認日2026年8月20日)。
柘は木材のため軽く、価格を抑えたい人に向いています。黒水牛は角(つの)を材料にした印材で、耐久性と価格のバランスがよいことから選ばれています。チタンは金属製で摩耗や欠けに強い一方、3種類の中では最も高額です。ここで選ぶだけで代金は決まり、次に説明する定款作成費用の支払いとまとめて振り込む案内になります。実印として長く使うつもりでこの場で決める場合は、価格だけでなく材質の耐久性も判断材料になります。
届くまでの標準的な日数は、このページ単体では明記されていません。登記書類の提出時期から逆算して余裕を持たせたい人は、サポートページの最新の案内で納期の目安を確かめてから進めてください。柘・黒水牛・チタンのどれを選んでも、手続き自体はこの一つの画面で終わります。


この中で買う場合と、自分で印鑑店を選ぶ場合の違い
この画面で印鑑を買う利点は、会社情報の入力から印鑑の手配までを一つの流れの中で終えられる点です。柘4,980円・黒水牛10,500円・チタン33,340円という価格はあらかじめ決まっており、印鑑店を自分で探す手間がかかりません。マネーフォワード公式の費用比較ページによれば、クラウド会社設立を利用した場合の会社設立費用の合計は17.2万円、専門家に頼らず自分で設立した場合は20.7万円という目安が示されています(マネーフォワード公式「会社設立のご利用料金」、確認日2026年8月20日)。
一方、自分で印鑑店を選ぶ場合は、書体や印材の種類をより幅広く選べるほか、実店舗であれば仕上がりを見てから受け取れるという違いがあります。ただし注文から受け取りまでの日数は店ごとに異なるため、法務局へ登記書類を出すタイミングに間に合うよう、余裕をもって発注日を決める必要があります。急いで会社設立を進めたい人は、画面内で買って代金の振込までを一本化したほうが、進行の管理はしやすくなります。
価格だけを比べると柘の4,980円が最も安く見えますが、街の印鑑店にはこれより安い印材を扱っている店もあります。逆に彫刻の書体や耐久性にこだわりたい人は、専門店で自分の希望を伝えながら選ぶ方法のほうが向いています。どちらを選ぶかは価格・材質・手間のどれを優先するかで変わります。

個人の実印・証明書も欠かせない場面
会社の印鑑とは別に、発起人・設立時代表取締役になる自分自身の実印と、それにもとづく証明書も必要です。法務局が公開している添付書面の一覧によれば、取締役会を設置する株式会社の発起設立では、定款のほかに設立時取締役等の選任および本店所在場所の決議書、発起人の同意書、この代表者になる人の就任承諾書、そしてその人が用意する印鑑証明書などが必要とされています(法務局「株式会社設立登記申請書(取締役会設置会社の発起設立)」、更新日2020年3月16日、確認日2026年8月20日)。取締役会を置かない会社では組み合わせが異なるため、自社の機関設計に合わせて確認してください。
この証明書は、住んでいる市区町村にあらかじめ自分の実印を登録していなければ受け取れません。まだ登録していない場合は、会社設立の手続きを進める前に、住民票がある市区町村の窓口で済ませておく必要があります(一例として世田谷区「印鑑登録を申請する(本人申請)」では、登録できる印鑑の大きさなどの条件が案内されています。確認日2026年8月20日)。この登録そのものはマネーフォワードの画面では代行されないため、窓口へは自分で出向くことになります。
発起人が複数いる会社では、代表者になる人だけでなく、定款に押印する発起人全員分の実印と証明書がいる場合があります。誰の分が必要になるかは会社の機関設計によって変わるため、法務局の一覧を確認しながら、自社に必要な人数分を洗い出しておくと手戻りが減ります。


法務局へ実印を届け出る「改印届書」という書式
実印を法務局へ提出するための書式として、改印届書が用意されています。法務局が公開している記載例では、会社名・本店所在地・印鑑提出者(代表取締役など)の氏名・住所といった項目に加え、届け出る印鑑を押す欄が設けられています(法務局「印鑑(改印)届書 記載例(株式会社)」、確認日2026年8月20日)。この書式に押した印影が、以後その会社の実印として登記所に記録されます。
この届出の要否や具体的な手続き方法は、申請の方法や会社ごとの状況によって扱いが変わり得るため、この記事で一律に断定することはしません。実際に届け出るかどうかを判断する際は、様式や記載例を法務局のページで確かめたうえで、管轄の法務局や司法書士に相談する材料としてください。マネーフォワードの画面では、この書式そのものの作成は扱っておらず、Step2で用意した印鑑を、提出書類とあわせて自分で扱う工程になります。
実印は、登記完了後に法人代表者として取得できる印鑑証明とセットで使う場面が多い印鑑です。銀行口座の開設や、不動産の賃貸借契約など、法人としての重要な契約の場面でこの証明の提出を求められることがあります。取引先や金融機関ごとに必要な通数や有効期限の考え方が異なるため、提出を求められた時点で法務局から最新の発行分を取り直す前提で予定を組んでください。

印鑑購入費用は、会社設立の基本費用に含まれない
マネーフォワード公式ページ「会社設立のご利用料金」が示す、クラウド会社設立を利用した場合の合計17.2万円という金額には、印鑑の購入費用が入っていません。内訳は定款作成手数料・印紙代0.5万円、定款認証1.7万円、登録免許税15万円、設立手数料0円で構成されており、印鑑を注文する場合は、Step2で選んだ4,980円〜33,340円がこの金額とは別に発生します。登録免許税は資本金の額の1000分の7(0.7%)で計算し、この金額が15万円に満たないときは15万円になるという下限のある税金で、資本金額がおよそ2,143万円を超えると15万円より高くなります(中小企業庁「会社設立時の登録免許税の軽減について」、確認日2026年8月20日)。
つまり柘を選んだ場合の目安は17.2万円に4,980円を足した額、チタンを選んだ場合は17.2万円に33,340円を足した額という計算になります。この場で買わず印鑑店に自分で発注する場合も、支払う代金は同じくこの基本費用の外側にある出費です。会社設立にかかる総費用を見積もるときは、この内訳と印鑑代とを別枠として足し合わせる必要があります。
印鑑代を含めても、資本金の額の1000分の7(0.7%)で計算した登録免許税が15万円に満たない場合の下限そのものは変わりません。資本金額を高く設定するほど登録免許税も上がるため、印鑑にかける金額と資本金額は本来別の判断軸です。なお、産業競争力強化法にもとづく市区町村の創業支援等事業の認定を受けた創業者には0.35%相当への軽減特例もありますが、通常の会社設立では適用されません(中小企業庁の同ページより)。開業資金の総額を考えるときは、印鑑代もあわせて資金計画に組み込んでおくと、後から不足に気づく事態を避けられます。


まとめ:3種類の印鑑を使い始めるタイミング
ここまで見てきた印鑑まわりの工程を振り返ると、マネーフォワードの画面のなかで終わるのは、Step2で柘・黒水牛・チタンから印材を選んで注文するところまでです。会社実印にまつわる法務局への届出手続き、自分の実印の登録、法人口座を開設するときの銀行印の届出は、いずれも画面の外で自分が窓口とやり取りする工程として残ります。銀行口座を開設する各金融機関は、開設時の提出書類の中に届出印を含めて案内しており、申し込みと同じタイミングで銀行印を用意しておく段取りになります。
角印は登記が完了してから、請求書や領収書を発行する場面で使い始めるのが一般的です。銀行印は法人口座を開く窓口で提出し、実印は登記申請の書類に押印する形で先に使うことになります。会社設立を自分で進める際は、3種類の印鑑をどの工程で・どの順番で使うのかを先に把握しておくと、印鑑を選ぶ画面で迷わずに済みます。印鑑にかかる費用は4,980円〜33,340円の幅があり、基本費用17.2万円の外側で発生する点も、資金計画の項目に加えてください。
印鑑まわりだけを取り出しても、自分でやる部分とツールの中で完結する部分がこれだけ分かれます。会社設立の他の工程も同じように、画面に任せられる範囲と、自分で動く範囲(公証役場・法務局・金融機関の窓口など)を先に切り分けておくと、途中で手が止まりにくくなります。




