この記事は、マネーフォワード クラウド会社設立を使って株式会社の設立を進めようとしたものの、途中で手が止まってしまった人に向けて書いています。会社設立の書類作成は、このツールでかなりの範囲を進められますが、公証役場や法務局など、画面の外に出て自分で動かなければならない場面も残ります。公式サイトの案内を確認しながら、どこまでを自分で完結でき、どこから専門家に相談すべきなのかを、実際の画面名・金額とともに整理します。
画面で完結する部分と、自分が窓口に出向く部分の境目
マネーフォワード クラウド会社設立は、フォームに沿って入力していくだけで、株式会社の設立に必要な書類を作成できるクラウドサービスです。公式サイト「会社設立の流れ」によれば、手続き全体は「書類作成」「登記」「設立後」という3つの区分に分かれています。
このうち「書類作成」にあたるStep1の「会社情報入力」画面は、入力した内容がそのまま定款の条文に反映されるため、フォーマットを自分でゼロから用意する必要がありません。一方「登記」にあたるStep2は、画面の中では完結せず、公証役場での定款認証や法務局への書類提出のために自分で足を運ぶ工程として案内されています。以下ではこの3ステップに沿って、会社設立のうち画面の中だけで終わる部分と、自分で動く部分を、公式ヘルプで確認できた画面名・金額とともに見ていきます。
マネーフォワード クラウド会社設立は、あくまで会社設立の「書類を作るツール」です。定款や登記申請書のひな形作成は自動化できても、事業目的の言葉選びや資本金額の決定といった経営判断そのものは自分で行うことになり、設立後の税務・社会保険・決算・役員報酬まで自動で済ませてくれるわけではありません。ツールで足りる範囲と、税理士など専門家への相談も選択肢になる範囲を最初に切り分けておくことが、途中で手が止まらないための第一歩です。

Step1で入力する6つの会社情報
Step1の「会社情報入力」画面では、会社名・本店所在地・代表者・事業目的・資本金額・決算時期を入力します。公式ヘルプでは、これらの項目を画面のガイドに沿って順番に入力していく操作が案内されており、入力した内容がそのまま定款の記載事項になります。
資本金額や決算時期、事業目的の文言は、ツールが代わりに決めてくれるものではなく、事業計画に応じて自分で判断する項目です。とくに事業目的は、法務局の審査で通りやすい言葉を選ぶ必要があるため、迷った場合は司法書士など専門家への相談も選択肢になるという案内が公式の手続きガイドにあります。入力が終わると、会社設立の手続きは次のStep2に進み、印鑑購入の画面に移ります。
資本金額に法律上の最低額はなく、会社法上は1円からでも株式会社を設立できます。ただし、消費税法上は資本金額が1,000万円を下回っていれば、原則として設立から2事業年度は消費税の納税義務が免除されるという条件があります。資本金額をいくらにするかは、当面の運転資金の見込みと、この免税の可否をあわせて自分で判断する必要があります。


Step2 会社設立の手続きの中にある画面内の工程
この工程には、複数の画面が用意されています。まず「印鑑購入」画面で、印鑑を自分で用意するか、サービス内で購入するかを選びます。購入する場合、柘(つげ)4,980円・黒水牛10,500円・チタン33,340円という3種類から選べ、いずれも税・送料込みの金額です(マネーフォワード公式の料金ページより、更新日2025年10月23日、2026年8月20日確認)。
次の「定款の作成方法の選択」画面では、電子定款と紙定款のどちらで進めるかを選びます。電子定款であれば、行政書士が定款を作成・電子署名する形で公証役場の認証を受けられ、紙定款で必要になる収入印紙40,000円が不要になります。続く「定款の受け取り場所の選択」画面で公証役場を指定すると、あとは行政書士からの連絡を待つだけの状態になります。電子定款の作成費用を無料にする有料プランには、税込年額32,736円のひとり法人プラン、同59,136円のスモールビジネスプラン、同85,536円のビジネスプランの3種類があります(マネーフォワード公式の料金比較ページより、確認日2026年8月20日)。この確認時点では、2026年7月1日から10月31日までに新規契約すると、プランの基本料金相当額のAmazonギフトカードが進呈されるキャンペーンも実施されており、条件を満たせばビジネスプランは実質0円になります。ただし期間限定の特典のため、適用条件や実施期間は必ずマネーフォワードの最新情報で確認してください。


電子定款の手数料5,000円と、紙定款の印紙代40,000円
電子定款と紙定款のどちらを選ぶかは、会社設立にかかる総費用にも直結します。電子定款を選ぶと、通常税込5,000円の作成費用がかかります。マネーフォワード クラウドの有料プラン(ひとり法人プラン・スモールビジネスプラン・ビジネスプランのいずれか)を契約している場合は、行政書士への支払い分をマネーフォワードが負担するため、実質無料になります(マネーフォワードの案内より、2025年10月23日更新分を2026年8月20日に確認)。有料プランを使わない場合は、この5,000円が自分で支払う費用になります。
一方、紙定款で進める場合は行政書士への依頼費用はかかりませんが、収入印紙40,000円が必ず発生します。「定款作成手数料・印紙代」だけで比べると、クラウド会社設立を使う場合は0.5万円、紙定款で自分で用意する場合は4万円という差になります(同ページの費用比較表より)。定款認証そのものの手数料は、電子定款・紙定款のどちらを選んでも必ず発生する費用です。日本公証人連合会によれば、令和6年12月1日から適用されている制度では、資本金額などが100万円未満で、発起人全員が自然人・3人以下・設立時発行株式の全部を引き受けるなどの要件を満たす場合は1万5,000円、同じく100万円未満でもこの要件を満たさない場合は3万円、100万円以上300万円未満の場合は4万円、300万円以上の場合は5万円と、4段階に分かれています(日本公証人連合会「会社の定款手数料の改定」、2026年8月20日確認)。

公証役場・法務局には、自分の足で出向く
会社設立の登記に欠かせない定款認証は、電子定款を選んだ場合も、公証人による認証そのものはマネーフォワードの画面の中では完結しません。行政書士が公証人と打ち合わせを行い、認証済みの定款は「定款の受け取り」画面の案内に沿って、指定した公証役場で自分が受け取ります。事前に電話で予約しておくとスムーズだという案内が、この画面上に表示されます。
定款を受け取った後は、「出資金の入金」画面の案内に沿って発起人名義の口座に資本金を払い込み、次に「法務局へ登記書類の提出」画面から登記に必要な書類一式をダウンロード・印刷して、自分で法務局へ持参します。登記完了予定日を過ぎたら、再度法務局へ向かい、登記事項証明書を受け取ります。証明書に記載された設立日は、この時点でマネーフォワードの画面上に自分で登録します。
「法務局へ登記書類の提出」画面でダウンロードできる書類のほかにも、添付が必要な書面があります。法務局のページによれば、取締役会を設置する株式会社の発起設立では、定款・設立時取締役等の選任および本店所在場所の決議書・発起人の同意書・設立時代表取締役を選定したことを証する書面・設立時取締役等の就任承諾書・設立時代表取締役の印鑑証明書といった書面が必要とされています(法務局「株式会社設立登記申請書(取締役会設置会社の発起設立)」、更新日2020年3月16日、確認日2026年8月20日)。取締役会を置かない会社では組み合わせが異なるため、自分の会社の機関設計に合わせて確認してください。

費用の総額:マネーフォワード利用17.2万円、自分で設立20.7万円
マネーフォワード公式ページ「会社設立のご利用料金」(更新日2025年10月23日)によれば、株式会社設立にかかる費用の目安は、クラウド会社設立を利用した場合の合計17.2万円、専門家に頼らず自分で設立した場合の合計20.7万円、司法書士・行政書士など専門家に依頼した場合の合計24.7万円という3パターンで示されています。
内訳は、定款作成手数料・印紙代(利用時0.5万円/自分で用意する場合4万円/専門家0円)、定款認証(公式ページの目安は1.7万円だが、資本金額などの条件によって1万5,000円〜5万円の4段階に分かれる。詳細は前のセクション参照)、登録免許税、設立手数料(利用時・専門家に頼らない場合とも0円/専門家8万円)です。登録免許税は「資本金の額の1000分の7(0.7%)」で計算し、この金額が15万円に満たないときは15万円になります(中小企業庁「会社設立時の登録免許税の軽減について」より)。つまり15万円はあくまで下限であり、資本金の額がおよそ2,143万円を超えると15万円を上回ります。前段の費用比較表が示す「登録免許税15万円」は、資本金額がこの下限に収まる会社を前提とした金額である点に注意してください。総額の差は主に定款作成手数料・印紙代の部分から生まれています(2026年8月20日確認、条件により金額が変動するため最新の数値はマネーフォワードの最新情報で確認してください)。なお、この17.2万円などの金額は印鑑購入費用を含まない基本費用です。印鑑を購入する場合は、Step2で紹介した4,980円〜33,340円が別途かかります。


「事前確定届出給与に関する届出書」を提出している法人が特定の役員に当該届出書の記載額と異なる支給をした場合の取扱い(事前確定届出給与)(国税庁)を参照。
Step3|設立後の届出と、法人口座
登記が完了すると、会社設立の画面はStep3「会社設立後の手続き」に進みます。「設立後の手続き」画面では、これまで入力した内容をもとに、年金事務所・税務署・都道府県税事務所へ提出する届出書類が自動作成されます。国税庁の案内によれば、代表的な届出のひとつである法人設立届出書は、設立の日以後2か月以内に提出することとされています。あわせて提出することが多い青色申告の承認申請書は、設立の日以後3か月を経過した日と設立第1期の事業年度終了日とのいずれか早い日の前日まで、給与支払事務所等の開設届出書は、開設の事実があった日から1か月以内が提出期限です(いずれも国税庁の案内より、確認日2026年8月20日)。
書類の作成はこの画面で進められますが、実際にこれらの窓口へ提出する作業や、法人名義の銀行口座を開設する作業は、この画面だけでは終わらず、自分で対応しなければなりません。マネーフォワードの案内では、この段階で法人銀行口座の開設や、経理・給与計算などのバックオフィスツールの利用開始もあわせて案内されます。
社会保険についても届出が必要です。日本年金機構によれば、厚生年金保険の適用事業所となるのは株式会社などの法人の事業所であり、代表者一人だけの会社(事業主のみの場合)も対象に含まれます(日本年金機構「適用事業所と被保険者」、2026年8月20日確認)。ただし、これは役員報酬を受け取っている場合の話です。昭和24年7月28日付の厚生省(現厚生労働省)通知「法人の代表者又は業務執行者の被保険者資格について」は、法人から労務の対償として報酬を受けている者を被保険者とする、としています(厚生労働省、2026年8月20日確認)。日本年金機構が公表している疑義照会回答でもこの通知が判断基準とされており、役員報酬が0円(無報酬)の代表者は報酬を受けていないため、被保険者にはなりません。設立直後でまだ役員報酬額を決めていない場合は、報酬額を決定した時点で年金事務所への加入手続きが必要になります。


まとめ:画面に任せてよい範囲と、専門家に相談すべき範囲
ここまで見てきたStep1〜Step3の流れを振り返ると、会社情報の入力や書類のひな形作成は画面の中で完結する一方、公証役場での定款認証、法務局への登記書類の提出・受け取り、年金事務所や税務署への届出、銀行口座の開設は、いずれも自分が窓口まで足を運ぶ工程でした。費用の面でも、登録免許税(資本金の額の0.7%、15万円が下限)や定款認証(1万5,000円〜5万円)は、会社設立の方法を問わず必ず発生します。
会社設立を進める際は、画面内だけで終わる範囲と、自分で窓口に足を運ぶ範囲を最初に切り分けておくと、途中で手が止まりにくくなります。設立後の税務・社会保険・決算・役員報酬まで自分だけで抱えるのが不安な場合は、税理士・社会保険労務士といった専門家に一部を任せる選択肢もあります。マネーフォワードの画面自体は無料で使い始められるため、まずは最初の入力画面から、自分のペースで会社設立の作業を進めてみてください。



