この記事は、マネーフォワード クラウド会社設立を使うのをやめたい人や、会社設立の手続きが一段落したのでアカウントを整理したい人に向けて書いています。ひとことで「退会」といっても、会社設立サービスの利用終了、有料プランの解約、電子公告サービスの解約、マネーフォワード IDそのものの退会という4つの手続きがあり、操作する画面も、消えるデータも、お金の扱いも違います。公式の使い方ガイドとよくある質問(2026年10月18日確認)で手順を確かめられた範囲だけを使い、どの順番で自分で進めればよいかを整理します。
マネーフォワードの会社設立で「退会」と呼ばれる4つの手続き
会社設立の手続きが進んだあとで、このサービスの退会を考えたとき、最初に区別したいのは次の4つです。
- 会社設立サービスの「利用終了」:アカウントの設定画面から行う、このサービスの退会そのもの
- 有料プランの解約:ひとり法人プラン・スモールビジネスプラン・ビジネスプランなど、Web契約した料金プランをやめる手続き
- 電子公告サービスの解約:株式会社の決算公告などに使う、年額制のサービスをやめる手続き
- マネーフォワード IDの退会:会計や給与など、同じIDで使っている全サービスをまとめてやめる手続き
4つを分ける理由は、公式ガイドの書き方にあります。クラウド会社設立の「退会方法」ガイドの注意事項には、電子公告を利用中なら電子公告の契約も同時に解約されると書かれていますが、有料プランが同時に解約されるとは書かれていません。一方、料金・費用のよくある質問「マネーフォワード クラウドと電子公告の有料プランを解約したいです。」では、有料プランの解約は料金・プラン管理の別ガイドへ案内されています。つまり、利用終了の操作だけで料金プランまで止まると考えるのは早計で、ひとつずつ自分で画面を開いて確かめる必要があります。
手続きの順番は、書類の保存、特典の申し込み、有料プランと電子公告の解約、利用終了、最後に必要ならIDの退会、という流れが組みやすくなります。次のセクションでは、最初の工程である書類の保存から見ていきます。


退会する前に、設立の進み具合と出力済みの書類を確かめる
利用終了が完了すると、登録済みの情報は削除され、復旧できません(「退会方法」ガイド、更新日2023年12月8日)。登記がまだ終わっていない段階で退会すると、入力した会社名・本店所在地・資本金・役員の情報をもう一度最初から自分で入れ直すことになります。会社設立の途中で迷っているだけなら、退会より先に、どの工程で止まっているかを確認する方が近道です。
公式ページ「出力できる書類一覧」によれば、このサービスでは公証役場に出す定款、法務局に出す設立登記申請書・発起人の決定書・就任承諾書・印鑑届書・払い込みがあったことを証する書面などをダウンロードできます。登記の完了後に使う書類として、法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、健康保険・厚生年金保険新規適用届も用意されています。株式会社の場合、登記書類は「STEP2 登記申請」画面の「登記書類を開く(PDF)」から出力する手順です。
退会後にこれらを開き直す方法は公式ガイドに書かれていないため、必要なPDFはすべて自分のパソコンに保存してから先へ進みます。会社設立の登記が終わったあとも、税務署や年金事務所への届出でこれらの控えを何度か使います。とくに法人設立届出書は、設立の日以後2か月以内に所轄の税務署へ出す書類(国税庁の案内)なので、登記の直後に退会する人ほど保存漏れに気をつけたい書類です。

「アカウント設定」から利用終了するまでの5つの操作
クラウド会社設立そのものの退会は、公式ガイド「退会方法」に沿って次の順で進めます。
- サービス画面右上のアイコンをクリックし、「アカウント設定」を選ぶ
- 「アカウント設定」画面で「利用終了」をクリックする
- 確認画面に表示される「注意事項」を読む
- 問題がなければ「注意事項に同意して利用終了」をクリックする
- 「マネーフォワード クラウド会社設立の利用を終了しました」と表示されたことを確かめる
よく混同されるのが、ログアウトとの違いです。ログアウトは、同じく画面右上の人型アイコンから「ログアウト」を選ぶ操作で、データは何も消えません。作業を中断したいだけなら、利用終了ではなくログアウトを選びます。ログインの入口やアカウント設定画面の全体像は、ログインからアカウント設定までの手順を整理した記事でも確認できます。
同じ設定画面には、メールアドレスの変更、パスワードの変更、メール配信の設定、アカウントの移行といった操作も並んでいます。お知らせメールを止めたいだけなら「メール配信停止の手順」のガイドが別にあり、退会しなくても目的は果たせます。利用終了のボタンは確認画面を1回通るだけで実行されるので、押す前に次のセクションの「消えるもの」を確かめておきます。

利用終了で消える情報と、サクセスパックの特典の扱い
「退会方法」ガイドの注意事項に書かれている内容は、次の4点です。登録済みの情報は削除され、復旧できないこと。サクセスパックの特典も利用できなくなるため、使う予定があるなら特典を申し込んでから退会すること。電子公告を利用中なら電子公告の契約も同時に解約され、電子公告の情報も削除されること。契約期間の途中で解約しても利用料金は満額発生し、残期間に応じた返金や日割りの精算はないことです。
サクセスパックは、マネーフォワード クラウド会社設立の登録後に使える特典の集まりで、公式ページ「登録後の特典」には外部サービスの割引や無料期間が並んでいます。2026年10月18日の確認時点では、たとえば電話代行サービスfondeskの初月基本利用料無料(通常10,000円)や、ホームページ作成サービスのペライチ有料プラン60日間無料などが掲載されていました。ただし同ページには、特典内容は予告なく変更する場合があると明記されています。
このため、特典を使うかどうかは退会前に決め、会社設立後の準備に役立つものがあれば申し込みを済ませてから利用終了に進みます。会社設立が終わってから法人口座やホームページを準備する人は、特典一覧を一度開いてから退会のタイミングを決めると、使えたはずの割引を取りこぼさずに済みます。

有料プランの解約は「サービス」画面で別に行う
有料プランを契約している場合、その解約は料金・プラン管理の公式ガイド「Web契約の有償プランの解約方法」(更新日2026年7月15日)の手順で行います。
- 「サービス」画面で「解約」をクリックする
- 「解約フォーム」画面で必須項目を入力し、「解約」をクリックする
- 「プランを解約しますか?」画面で内容を確認し、「解約する」をクリックする
- 画面上部に「有料プランを解約しました。」と表示されたことを確かめる
同ガイドの注意事項では、解約操作は即時に反映され、その時点で残期間は無効になること、途中で解約しても利用料金は満額発生すること、操作は取り消せないことが示されています。解約しても完了メールは送られないため、「サービス」画面のプラン名欄に「現在ご利用中のプランはありません。」と表示されているかで完了を確認します。「管理者」権限でないと「権限がありません。」というエラーになる点も書かれています。
解約後も登録データは保持されますが、使える機能は一部制限されるため、必要なデータは解約前にエクスポートしておくよう案内されています。電子定款の作成費用5,000円を運営会社が負担する特典は、これらの有償プランの契約が条件なので、会社設立の定款作成を頼む前後で解約の時期を自分で判断します。


電子公告サービスを解約すると、掲載中の公告はどうなるか
会社設立で株式会社を選んだ場合、「STEP1 資本金と決算」画面で公告の方法を選びます。ここで「電子公告(マネーフォワードの電子公告サービスを利用する)」を選ぶと、1年あたり3,980円(税抜)の費用が発生します(ご利用料金のガイド、更新日2026年1月14日)。料金明細への反映は購入の翌々月上旬、請求は翌々月の15日です。
解約の手順は、公式ガイド「契約管理」の解約方法の項にあります。画面右上の「電子公告」から「契約管理」を選び、「解約する場合はこちらをクリックしてください。」の「こちら」をクリックします。「注意事項」画面で内容を確認して「解約する」を押し、「電子公告サービスの解約が完了しました。」と表示されれば完了です。
注意事項によると、解約すると登録した情報は削除されて復旧できず、掲載済みの公告の閲覧や、発行済みの公告ホームページのURLを使った公告の公開も一切できなくなります。さらに、別のURLで電子公告を行う場合は変更登記が必要と明記されています。また、「料金・プラン」画面でクレジットカードを解除すると、電子公告も契約期間満了後に解約になると書かれています。会社を続ける限り公告の方法は必要になるので、電子公告を解約する前に、次の公告をどの方法で出すかを決めておきます。

公告方法を変えるときに必要な定款変更と変更登記
会社法第939条第1項は、会社の公告方法として、官報に掲載する方法、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法、電子公告のいずれかを定款で定めることができるとしています。定款に定めがない会社の公告方法は官報です(同条第4項)。定款に公告方法の定めがあるとき、その定めは登記事項になり、電子公告の場合は公告を掲載するページの情報も登記されます(会社法第911条第3項第27号・第28号)。
このため、会社設立後に電子公告を解約して官報に切り替えるなら、定款を変える株主総会の決議(会社法第466条、特別決議)と、公告方法の変更登記の両方が必要です。別のURLで電子公告を続ける場合も、公式の注意事項どおり変更登記を行います。変更登記は、変更が生じたときから2週間以内に本店の所在地で行う決まりです(会社法第915条第1項)。法務局の「商業・法人登記の申請書様式」には、株式会社変更登記申請書(公告方法の変更)の様式と記載例が掲載されています。
この変更登記にかかる登録免許税は、登録免許税法別表第一の「登記事項の変更」の区分で、申請1件につき3万円です。会社設立のときの登録免許税(資本金の額の1000分の7、15万円に満たない場合は15万円)とは計算方法が違い、定額で発生します。電子公告の年額3,980円(税抜)を節約するつもりで解約すると、かえって変更登記の費用がかかることもあるので、解約の前に金額を並べて自分で判断します。

退会しなくて済むケース:アカウントの移行と2社目の登録
退会を考える理由が「担当者が変わる」「別の会社も作りたい」といった事情なら、利用終了をしなくても解決できる場合があります。担当の交代については、「アカウント設定」画面の「アカウントの移行」が用意されています。公式ガイド「アカウントの移行方法」が挙げる条件は、移行前と移行後のマネーフォワード IDが両方ともログインできる状態であること、移行後のIDがクラウド会社設立と紐づく事業者に属していること、行政書士へ定款作成を依頼中でないことの3つです。
会社設立を2社目まで考えている場合は、よくある質問で、このサービスは1アカウントにつき1社分の設立に対応しており、2社目は別のメールアドレスで改めてアカウントを登録するよう案内されています。1社目のアカウントを退会して作り直す必要はありません。また、メンバー追加機能はなく、複数アカウントで情報を共有することはできないため、共同創業者と画面を共有したい場合も1アカウントで運用する前提です。
有料プランや電子公告の契約で、設立予定の会社とは違う事業者を紐付けてしまった場合も、退会ではなくコンタクトセンターへの連絡が案内されています(よくある質問「誤った事業者を紐付けてしまいました。」)。自分で状況を整理して、このどれかに当たるなら、利用終了のボタンを押す前に、移行・新規登録・問い合わせのいずれかで解決できないかを確かめます。

まとめ:マネーフォワード IDの退会は最後に、順番を守って自分で進める
IDの退会は、公式ガイド「マネーフォワード IDの退会方法」(更新日2026年7月23日)によると、そのIDを使っているすべてのサービスから先に退会しておくことが前提です。準備ができたら、ID管理画面にログインして「マネーフォワード IDを退会」をクリックし、「マネーフォワード IDを退会する」画面で「上記の内容をすべて確認しました」にチェックを入れて「退会する」を押します。IDに紐づくすべてのデータが完全に削除され、復元はできません。
ここまでの流れを並べ直すと、出力できる書類の保存、サクセスパックの申し込み、有料プランと電子公告の解約判断、クラウド会社設立の利用終了、最後にIDの退会、という順番になります。電子公告をやめると定款変更と変更登記(登録免許税は、設立時の資本金の額の1000分の7という計算とは違い、申請1件につき3万円)が必要になる点は、ツールの外で発生する手続きです。
会社設立の書類づくりはこのツールで十分に進められますが、設立後の税務署への届出、社会保険、決算、役員報酬の決め方まではアカウントを整理しても終わりません。退会のボタンを押す前に、自分の会社にこの先どの手続きが残っているかを書き出し、必要なら税理士などの専門家に相談する時期もあわせて決めてください。



